消化器癌診療に関わる専門医に複数の治療薬を提示してその処方状況を尋ねたところ、「適応症例に常時処方」とした医師は、TS-1の80.7%が最高で、フルオロウラシルの72.0%、シスプラチンの68.9%、イリノテカンの68.3%がこれに続いた。

 一方、抗体医薬では、62.7%の医師がベバシズマブを「適応症例に常時処方」としたが、セツキシマブは47.2%、パニツムマブは40.4%、トラスツズマブは31.7%にとどまった。パニツムマブでは9.3%、セツキシマブでは8.1%、トラスツズマブでは8.1%の医師が「試用している段階」と回答しており、抗体医薬はまだ癌の臨床現場普及する過渡期といえそうだ。

 この調査は、日経BP社が提供する専門医によるウェブ討議サイト「コンセンサスエンジン消化器癌」に登録している医師を対象に行ったもの。2012年1月19日から2月1日にかけて、コンセンサスエンジン消化器癌に登録する約950人の医師に調査への協力を求め、161人から回答を得た。回答者の46%が40歳代の中堅医師で、診療科目は外科・消化器外科が48.4%、内科・消化器内科が41.6%だった。

 コンセンサスエンジンとは、最新医療の担い手である若手・中堅専門医が月に1回程度、ウェブ上で一堂に集って討議し、そこで得られた最新のコンセンサスと、コンセンサス形成に至るまでの公開議事録とを、登録した医師がウェブ上で閲覧できるようにしたもの。現在、コンセンサスエンジン消化器癌と、コンセンサスエンジン乳癌の2つを運用しており、今回の調査はコンセンサスエンジン消化器癌を閲覧するために登録した医師を対象に実施した。回答者の45.3%が癌診療連携拠点病院の医師で、極めて専門性の高い医師の声を反映したものといえる。

 回答者に消化器癌診療の問題点を幾つか挙げて聞いたところ、「患者の医療費負担が増加している」に対して70.2%の医師が「そう思う」または「まあそう思う」と回答しており、高額な医療費が診療現場において切実な問題となりつつあることを示している。医療費負担の問題に続いて多かったのは、「治療選択に関する信頼できる情報の取捨選択が難しい」の59.6%、「保険診療で対応できる範囲が限られている」の50.9%、「新薬の処方についてコンセンサスが得られていない」の49.7%だった。

 また、調査時点でコンセンサスエンジン消化器癌で公開済みだった13本のコンセンサスは、いずれも回答者の8割程度に閲覧されていた。コンセンサスエンジン消化器癌に対する評価では、90.1%の医師が「消化器癌の治療や診断に関する最新動向が理解できる」という点について「そう思う」または「まあそう思う」と回答していた。

 上記の調査結果の詳細は、コンセンサスエンジン消化器癌のサイトに掲載した。コンセンサスエンジン消化器癌のサイトに登録した上で、ご覧いただきたい。

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 なお、コンセンサスエンジン消化器癌に登録いただくためには、日経メディカル オンラインに医師として登録する必要がある。未登録の医師の方は併せて登録いただきたい。