京都大学医学部附属病院とNTTは、スマートフォンスマホ)の機能を利用して、関節リウマチ患者の歩行機能や体調を計測・記録し、医療機関と患者が情報共有できるシステムを開発した。2月からは患者にスマホを貸与し、院外での実証実験を始めた。

図1 左:患者が持つスマホ上の歩容解析画面、右:患者用の関節痛登録画面(写真提供:京大病院リウマチセンター)

 最近のスマホには、位置情報が得られるGPSや加速度センサー、傾きなどを検知できるジャイロセンサーなどが搭載されている製品が多い。本システムでは、スマホ搭載の加速度センサーにより、歩行のばらつき、歩行ペース、歩行中の左右のバランスなどの「歩容」(歩行中の身体運動の様子)を自動的に計測するほか、GPSデータをもとに歩行距離も記録する。得られたデータはサーバーに自動的に送信され、担当の医療従事者が閲覧できる。

 研究グループでは昨年4〜5月、京大病院内で関節リウマチ患者39人を対象とした予備的な実験を行い、従来用いられてきた大型の3軸加速度センサーと同等の歩容評価が可能であることを確かめた。また、本システムによる歩容評価は、関節リウマチの疾患活動性や日常生活動作(ADL)の評価に用いられるDAS(disease activity score)、mHAQ(modified health assessment questionaire)などの指標と有意な相関があることも確認している。

図2 歩容情報を確認できる医療従事者用画面(写真提供:京大病院リウマチセンター)

 患者が持つスマホに搭載する専用アプリでは、歩容情報(図1左)の自動計測機能に加え、患者自身が関節痛などの症状や体調、ADLなどの関連項目を入力できる(図1右)。これらの情報は一定の間隔でサーバーにアップロードされるので、主治医などの医療従事者が患者の日々の状況を把握し、投薬などの治療や検査データと、疾患活動性や身体機能などとの関連を把握するのに役立つと期待される(図2)。

 研究グループは2月1日から2カ月間の予定で、計20〜30人の患者に専用アプリを搭載したスマホを貸与し、院外における本システムの実証実験を開始した。今後も実験を続け、近い将来、日常診療での利用を目指すという。

 本研究に携わっている京大病院リウマチセンター准教授の伊藤宣氏は、関節リウマチの臨床における本システムのメリットについて、「医療従事者が患者さんの病状やその周期、歩行(移動)状況について詳しく把握できる。疾患活動性を抑えるために重要なセルフケアにも有用」と期待する。

 他の慢性疾患や外科治療後のリハビリ期間など、関節リウマチ以外への適用も可能とみており、今後さらに共同実験を続ける計画だ。