7月13日、「国際モダンホスピタルショウ2011」(東京都港区)で日本病院会主催の公開シンポジウム「多職種の相乗効果による病院医療の質向上」が開催され、東日本大震災の医療支援に参加した医師・看護師・薬剤師らが活動を振り返り、今後の災害医療の課題について討論した。

 まず、昭和大学大学院保健医療学研究科准教授の上條由美氏が、昭和大学の医療支援の活動内容を紹介した。同大は3月15日から4月16日までの約1カ月間、岩手県山田町に7チーム、計107人を派遣。岩手県立山田病院での外来診療、避難所・自宅の巡回診療のほか、感染症の予防や手洗いの指導などの啓発活動を行った。当初は外科医と内科医の割合が半々だったが、外傷患者が少なかったことから、第2陣から内科医中心のチーム編成に切り替えた。

 当時、山田町には陸上自衛隊、日本赤十字社などの医療支援チームが入っており、医師だけでも30〜40人が滞在していたが、上條氏は医療チーム間での連携が難しかった問題を指摘。具体的には(1)診療科が重複・偏在してしまったこと(2)各チームがお互いに遠慮して本音を言えなかったこと(3)町役場の職員が被災していたため、医師らからの要望をまとめきれなかったこと―を挙げた。その上で、「DMAT広域災害救急医療情報システム(EMIS)のように、情報を集約化し、活動拠点ごとに統括本部を設置するなど、指揮命令系統を確立させることが必要ではないか」と訴えた。

 続いて、長崎リハビリテーション病院理事長・病院長の栗原正紀氏が、被災地でのリハビリテーション関連の支援活動について報告。上條氏と同様に、各医療チーム間の連携がうまくいかなかった問題に触れた上で、災害救助法の医療関係者の規定に理学療法士・介護福祉士・ケアマネジャーなどが含まれていないことを指摘し、これらの職種も対象に加えてほしいと要望した。

 シンポジウムでは、医師の立場から上條氏と栗原氏が発言したほか、看護師の立場から日本看護協会看護研修学校救急看護学科主任教員の石井美恵子氏が、薬剤師の立場から日本医科大学千葉北総病院薬剤部の渡邉暁洋氏がそれぞれ意見を述べた。

 「医療チーム間の連携」をテーマにした討議では、上條氏が「情報を1カ所に集約し、なおかつ全体を見て各チームをコーディネートする人がいないと、結局それぞれのチームがうまく機能しない。全体を見られる人が不可欠だ」と指摘。渡邉氏も「災害医療では活動本部を立ち上げて、指揮命令系統をはっきりさせることが基本。今回の震災では、役所が被災したケースも多かったので、自治体機能を代替できるような組織づくりが求められる」と述べた。

 そのほか、支援のあり方についての討議では、渡邉氏は「全国から多くの医薬品が支援物資として送られてきたが、現地のニーズとは若干のずれがあり、被災地にまだ残っている医薬品を今後どう配分するかを考えなければならない。もっと早い時期から、医薬品のマネジメントを行わなければならなかった」と反省点を挙げた。

 シンポジウムの最後には、支援活動に必要な費用の負担について各自が発言。今回の震災では、派遣元の組織が交通費・宿泊費を負担するケースが多かったが、「支援が長期化すれば費用を負担しきれない問題が生じる」という意見で一致した。シンポジウムの司会を務めた末永裕之氏(小牧市民病院病院長)は、「震災の復興には長い時間を要すると予想されている。短期間ならともかく、ボランティアでは年単位の支援はとてもできない」とした。石井氏も「無償で働くボランティアが長期にわたって活動すれば、被災地の雇用の妨げになる」と問題点を指摘。国が被災地の支援に当たる医療機関や医療従事者をサポートするよう求めた。