日本産婦人科学会は3月16日、妊婦や授乳中の女性向けに、現段階では放射線被曝の胎児や母乳への影響を心配する必要はないとの案内を出した。

 東京電力福島第一原発の相次ぐ事故により、周辺地域には避難や屋外退避の指示が出ている。また、避難や屋内退避の対象になっていない地域でも、放射線被曝の影響を心配する人が少なくない。

 そのため同学会は、「福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」を学会ウェブサイトに掲載。今後の状況変化にもよるが、少なくとも3月15日午前6時時点で原発から5km以上離れた地域にいた妊婦、授乳中の女性について、被曝量は低レベルであり本人はもとより乳幼児、胎児、母乳への放射線被曝による悪影響について心配する必要はないと訴えた。授乳を諦める必要もないという。

 放射線被曝により、乳幼児や若年者では甲状腺がんの発症率が高くなるという指摘がある。同学会は、計50ミリ(5万μ)シーベルト以上の被曝を受けた40歳以下の妊娠・授乳中女性に対しては甲状腺癌発症リスクを低減するため、ヨウ化カリウムの服用を推奨している。

 ただし、ヨウ化カリウムには、胎児や乳幼児の甲状腺機能が低下する副作用もある。仮に上記の量の被曝を受けても、リスクを上回るベネフィットが得られない可能性が高いため、同学会は40歳以上については服用を推奨していない。また、被曝量が計50ミリシーベルトを下回る場合もヨウ化カリウムの服用を考慮する必要なないとしている。

 同学会は、ヨウ化カリウムを服用しないで済むよう、可能であれば線源から離れるなど、被曝量を少なくする工夫を行ってほしいと呼びかけている。また、外出はできるだけ避け、窓も閉めておくことを勧めている。

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