3月11日の東日本巨大地震の発生から5日が経過し、被災地での医療活動が急性期から慢性期医療に移りつつある。

 厚生労働省が随時まとめている「東北地方太平洋沖地震の被害状況及び対応について」によると、災害急性期に活動する機動性を持った災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)の現地での活動チーム数は14日の3時時点で120チームだったが、その後徐々に減り、16日の12時時点では30チームとなった(図1)。

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 一方、保健師等の活動状況を見ると、14日の12時時点では2チームだった現地での活動チーム数は、16日の12時時点では28チームにまで増加(図2)。現地へ「移動中」「移動準備中」のチームも含めると、25チームから71チームに増えている。

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 大塚耕平厚生労働副大臣は16日の記者会見で、「DMATに代わって保健師などの活動が活発化している」と述べ、被災地の医療ニーズが急性期から亜急性期や慢性期医療に移りつつあることを示唆した。

 このほか16日には、被災者の精神的ケアの実施を目的とする岡山県の「心のケアチーム」が宮城県に派遣され、17日には長野県のチームも被災地入りする。さらに15日には、日本医師会が災害医療チーム(JMAT)の派遣を決定(関連記事:2011.3.15「日医、東日本巨大地震の被災地に災害医療チーム派遣」。常時100チームを派遣し、医療機関の手薄な地域での診療支援や避難所にいる被災者の診療などに当たる方針だ。

 災害発生からおおむね48時間以内の急性期に活動するDMATの役割は一段落したことになる。今回の震災は津波による影響が大きく生死の明暗がはっきり分かれ、現地の医師からは、「既に死亡している人が多く、(DMATが)助けられる傷病者は少なかった」(関連記事:2011.3.16「死者は積み上がっても、助けられる傷病者が発見できない…」)との声が聞かれる。今後は、今震災におけるDMATの活動の詳細な検証を通じ、被災地における急性期医療のあり方を再検討する必要があるだろう。

 一方で、慢性疾患を持つ患者の診療や被災者の精神的なケアの重要性は、今後一層増す。医薬品や医療材料などの確保と合わせて、プライマリケアの充実が強く求められることになりそうだ。徐々に再開しつつある被災地の診療所をどう支援していくか、日医の災害医療チームなどにかかる期待は大きい。