東北地方太平洋沖地震の犠牲者が数千人単位に膨れあがっている状況を受け、日本歯科医師会は14日、全国の都道府県歯科医師会に対し、遺体の身元確認作業のために協力してくれる会員を募るよう要請した。被災地に派遣する考え。

 事件・事故などで身元不明の死者が発生した際、歯科医師は、検視を行う警察官や医師の要請を受け、検視の「補助行為」として歯科所見などを活用した身元確認作業を行う。日歯は、地震発生直後に、政府の対策本部から身元確認のための歯科医派遣を打診されていた。

 日歯は各都道府県歯科医師会に対し、派遣可能な会員を募った上で、警察歯科医として確認作業の経験が豊富な会員の紹介を要請。ただし、現地への交通手段が限られているため、実際の派遣場所や日時は、警察庁や被災地などからの情報などを基に順次決定していくとしている。

 これに先立つ12日、岩手県歯科医師会は被害の大きかった宮古方面・陸前高田方面に会員を派遣し、身元確認作業を開始している。しかし、多数の遺体が安置されている場所には到達できず、30体余りの遺体の口腔内所見を確認するだけに終わっている。また、13日には警察庁から日本歯科医師会に対して正式に派遣要請があったが、現地の受け入れ態勢が十分でないことから、11人の派遣にとどまっている。

 日歯によると、1人の歯科医師が確認できるのは1日に10〜15人程度であり、精神的な負担も大きいため、長期にわたって続けることは困難だとしている。日歯会長の大久保満男氏は、「仮に犠牲者が1万人いれば、100人や200人の歯科医師でもかなり厳しい」と見ており、全国からの派遣が必要であることを訴えた。身元確認作業の研修を受けた歯科医師は、全国に2〜3万人いるという。

 また、日歯では歯科所見だけでなく、口腔内や毛髪などからのDNA鑑定の併用も検討しているようだ。愛知県歯科医師会会長の宮村一弘氏は、「米国の『ソレンソンジェノミクス』という企業から、1万5000検体分の解析を無償で提供してもよいと打診を受けている。内閣府にはその旨を報告しており、政府の判断を待っている段階だ」と語った。