2型糖尿病の治療において、糖尿病専門医は肥満を伴うか否かで第1選択薬を変えていることが、「日経メディカル オンライン」が実施した「2型糖尿病の薬物治療に関する調査2006」で明らかになった。これに対して非専門医では肥満か否かで第1選択薬に大差はないなど、専門医と非専門医では2型糖尿病の薬物治療に相違があることも浮き彫りになっている。

 この調査は、「日経メディカル オンライン」が会員医師を対象に2006年7月11日から24日に実施、計432人から回答を得た。回答者の内訳は、糖尿病・内分泌代謝内科(糖尿病専門医)41人、その他内科165人、その他の科目223人、無回答3人。

 糖尿病専門医の場合、肥満を伴う2型糖尿病の第1選択薬は、56.1%がビグアナイド薬を挙げ、以下、α-GI(19.5%)、インスリン抵抗性改善薬(12.2%)と続いた(表1)。肥満を伴わない2型糖尿病では、スルホニル尿素薬(SU薬、36.6%)、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI、29.3%)、速効型インスリン分泌促進薬(29.3%)の順だった。これに対して非専門医が肥満を伴う2型糖尿病の第1選択薬として上げたのが、α-GI(その他内科31.5%、その他の科目31.8%)。肥満を伴わない場合の第1選択薬も、α-GIがその他内科ではトップ(38.2%)、その他の科目でも2位だった(33.6%)。

表1 2型糖尿病の第1選択薬

  1位2位3位
糖尿病専門医肥満を伴うビグアナイド薬α-GIインスリン抵抗性改善薬
 肥満を伴わないSU薬α-GI、速効型インスリン分泌促進薬
その他内科肥満を伴うα-GIインスリン抵抗性改善薬ビグアナイド薬
 肥満を伴わないα-GISU薬速効型インスリン分泌促進薬
その他の科目肥満を伴うα-GISU薬ビグアナイド薬
 肥満を伴わないSU薬α-GI速効型インスリン分泌促進薬


 また昨年も同様の調査を実施したが、その結果と比較すると、変化の一つが「薬物治療への考え方」。「食事療法や運動療法で効果が出ているのかどうか」「生活習慣への介入による効果が見込めるかどうか」を検討した上で、薬物治療を開始するという医師が、昨年よりも増加、特に糖尿病専門医での伸びが大きかった。

 そのほか調査では、糖尿病薬を選択するための情報源も聞いている。「非常に気にかける」情報源として最も多かったのは「学会発表や論文」で、以下、「医師仲間のアドバイス」、「医学雑誌の記事や広告」、「周りの医師の処方状況」、「MRから提供される情報」と続いた。製薬企業のホームページの利用度は、武田薬品工業、アステラス製薬、ノボ ノルディスクファーマが上位3社。

糖尿病治療の難しさを指摘する声が多数
 自由意見欄では、数多くの意見が寄せられた(糖尿病専門医22人、その他内科・科目の医師129人)。その内容は多岐にわたり、糖尿病専門医の苦労や、生活指導の難しさ、治療の標準化を求める声などが上がった。以下はその一部だ。

◆内科でも、糖尿病が専門でない先生は、食事療法も指導せず、漫然とSU剤を、何年も使用しているケースが多い。インスリンを導入しなくてはいけないのだが、本人、前医から何も聞いてないので、困惑する(糖尿病・内分泌代謝内科、40歳代)
◆症状がほとんどないため、治療に積極的でない患者が多い。食事、運動療法につき説明しても、なかなか実行してくれない(その他内科、40歳代)
◆食事療法、特に腎症合併例での食事療法(外来で医師ができる範囲)の具体例があまりGLとして提示されていない。経口薬とインスリンは種類が多くなってきたが、スタンダードな使用法についてのコンセンサスや適当なGLがないように感じる。合併症についての指針が不十分に思う(その他内科、40歳代)
◆ありふれた疾患であり使われる薬品もよく知っているはずだが、実際に目の前にいる患者に投与するときには悩むことが多く、糖尿病専門医と治療の差が歴然となってしまうだろう。喘息や高血圧症は専門医以外でも大部分の患者を何とか可がつけられる治療ができるが、糖尿病に関しては難しいのではないか(その他の科目、30歳代)
◆生活習慣病の代表である糖尿病はいろんな手を尽くして最終的には手の出しようのない状況になることが多い。啓蒙活動とともに、インシュリンの枯渇しないかつ合併症を発症しにくい新薬(新しい機序の薬剤)を、各社研究発売してほしい(その他内科、40歳代)


 ※本調査に関する問い合わせは、日経BP社医療局広告部(TEL:03-6811-8036)までお願いします。