近年、インクレチン関連薬という新しいカテゴリーの薬剤が登場し、糖尿病薬物治療の選択肢が拡がった。しかし、国内外で発表されている2型糖尿病の治療指針では、長い歴史と豊富な実績をもつスルホニル尿素(SU)薬が、依然中心的な位置を占めている。2010年10月10日、長野で開催された第43回日本薬剤師会学術大会のランチョンセミナーにおいて、横浜市立大学の寺内康夫氏は糖尿病治療に関する一連の大規模臨床試験の要点ならびに日本人2型糖尿病の病態を明らかにし、これらを踏まえた糖尿病治療のあり方について解説を行った。

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 これまでに数々の大規模臨床試験が実施され、合併症抑制を念頭に置いた糖尿病治療のあり方が検討されてきた。こうした知見を踏まえ、寺内氏は「糖尿病を早期に診断し、低血糖を回避しつつ良好な血糖コントロールを維持し、Bad Glycemic Memoryを蓄積させない努力が大切である」と、合併症抑制を念頭に置いた糖尿病治療のあり方をまとめた。

 また寺内氏は、日本人は欧米人に比べてインスリン分泌量が約半分程度であり、遺伝的に糖尿病を発症しやすい人種であること、日本人は欧米人に比べ内臓脂肪を溜めやすいことを示し、「日本人2型糖尿病に対しては、インスリン分泌不全はもちろん、インスリン抵抗性、内臓脂肪の蓄積、膵β細胞機能の温存など病態の多様性に目を向けた治療戦略が重要」とした。

 2型糖尿病に対する治療の考え方については、米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)によるコンセンサスステートメントでは、生活習慣の改善とメトホルミンによりHbA1c (国際標準値)7%未満が達成できない場合の第2段階の治療として、基礎インスリン療法またはSU薬の追加を推奨している。

 SU薬には、第一世代〜第三世代まで複数の薬剤が開発されており、「薬剤選択に際してはリスクとベネフィットを勘案して決定することが大切」と寺内氏は指摘する。浦風らの報告では、グリメピリド(アマリール)0.5mg/日を初期投与量とし、1日1回の投与により、投与開始1ヵ月後よりHbA1c(JDS値)の低下がみられ、4ヵ月後には投与前の7.2%から6.4%へと有意な低下が認められた(p<0.01、vs baseline、Bonferroni test)。また、投与前HbA1cが高い例においてより大きな効果が得られることが示唆された。さらに同報告では、グリメピリド0.5mg/日によるHbA1c低下効果は、BMIにかかわらず認められることも示されており、肥満の有無を問わず良い選択肢になると考えられる。

 また、グリメピリド0.5mg/日投与時における低血糖及び低血糖症状の発現はすべて投与前の空腹時血糖値が120mg/dL以下の症例であったことが判明している。なお、低血糖発生率に関しては、第二世代のグリベンクラミドで2.8%であるのに対し、第三世代のグリメピリドでは1.3%との報告もある。

 食事・運動療法のみで管理している2型糖尿病患者(HbA1c〔JDS値〕6.5%以上8.0%未満)を対象に、グリメピリドとボグリボースの無作為化比較試験が実施されている。グリメピリドは0.5mg/日から開始し、HbA1c(JDS値)6.0%未満を目標に投与量を調整して2mg/日まで増量可能とし、24週間投与した。その結果、グリメピリド投与群では、投与開始1ヵ月後からHbA1c(JDS値)が有意に低下し(p<0.05、Bonferroni test)、24週時においてもベースラインの7.07%から6.01%へと有意な低下が認められた(p<0.01、Bonferroni test)。また食事負荷試験におけるベースラインと24週時の平均値を比較すると、グリメピリド投与群では空腹時血糖値は138.15mg/dLから112.93 mg/dLへ、食後1時間値は230.80 mg/dLから202.28 mg/dLへ、食後2時間値は188.58 mg/dLから149.78 mg/dLへとそれぞれ有意な低下が認められた(各々p<0.001、t検定)(図)。

 こうした知見を踏まえ、寺内氏は「最近はインクレチン関連薬がわが国にも導入され、経口血糖降下薬の選択肢が増えつつあるなか、豊富な実績をもつSU薬は、2型糖尿病治療において依然重要な位置を占めている。今後は、日本人2型糖尿病の病態を踏まえ、例えばSU薬とインクレチン関連薬をどのように組み合わせていくのか、ということなどを含めて、エビデンスの集積に力を注いでいきたい」と締めくくった。

※アマリールの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。