心筋梗塞などの心血管イベントによる入院患者の半数以上が耐糖能異常(IGT)を合併している状況がある中、循環器領域においても一次予防・二次予防の両方の観点から糖尿病治療にかかわる必要性が増している。2010年3月6日にグランドプリンスホテル京都で開催された第74回日本循環器学会総会・学術集会ファイアサイドセミナーにおいて、東京医科大学内科学第三講座主任教授の小田原雅人氏は心血管イベント抑制における血糖コントロールの重要性を明らかにしたうえで、経口血糖降下薬選択の留意点などについて講演を行った。

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 糖尿病および耐糖能異常が二次予防のみならず一次予防の観点からも心血管イベントの発症に大きく関連していることは明らかであり、急性心筋梗塞でCCU搬送された患者の約7割が糖尿病またはIGTであったとの報告もある(Norhammar A et al.: Lancet 359(9324), 2140-2144, 2002)。この点を踏まえ、小田原氏は「血糖コントロールを行って心血管イベントを予防できれば、臨床的に重要な意義がある」と指摘した。

 これまでに、合併症抑制における血糖コントロールの意義を検証した大規模臨床試験が多数実施されており、2009年には、心血管合併症抑制における血糖コントロールの意義を検証した主要な試験のメタアナリシスの成績が報告され、非致死的心筋梗塞や冠動脈疾患発症抑制における厳格な血糖コントロールの意義が実証された(図)。

 また、UKPDS試験終了から10年間の追跡調査結果を報告したUKPDS 80では、当初から強化療法を行った群では、細小血管障害とともに全死亡や心筋梗塞の有意な抑制効果、いわゆる“Legacy effect(遺産効果)”が示された。小田原氏は一連の成績を振り返り、「血糖が高いと死亡および心筋梗塞リスクが上昇すること、また血糖管理によるLegacy effectが認められたこと、エビデンスレベルが高いメタアナリシスで強化療法の優位性が実証されたことから、心血管イベントを防ぐためには早期から血糖コントロールに努める必要がある」と語った。

 経口血糖降下薬の選択について、小田原氏はこれまでの報告をもとに「合併症を防ぐための血糖コントロールは、重症低血糖を可能な限り回避すべく、ゆっくり血糖値を下げることが大切である」と指摘。SU薬では、第二世代SU薬に比べて低血糖の発生率が低いグリメピリドのような第三世代SU薬を選択するメリットを強調した。

 国際糖尿病連合(IDF)は、アジア人への適用も視野に入れた2型糖尿病に関するグローバルガイドラインを2005年に発表した。Standard careの項では、メトホルミンにより目標レベルまでの血糖コントロールが不可能な場合、あるいは非肥満患者に対する第一選択薬の1つとしてSU薬の使用が推奨されている。また、Minimal careの項では、メトホルミンとSU薬を経口薬療法の基礎にすべきことが明記されており、両薬剤は同ガイドラインでも高く評価されている。

 小田原氏は、「両薬剤とも細小血管症に加えUKPDS等で心筋梗塞抑制効果が示されたうえ、長い使用経験の歴史がある。また、廉価で併用療法にも向いている」と、その背景について解説したうえで、「長年にわたる研究の成果が実り、早期から厳格に血糖コントロールを行うことの重要性が明らかとなった。SU薬のように有効性、長期の安全性、経済性など多くの側面でメリットを有する薬剤の使用も考慮し、できるだけ早期から血糖コントロールに努めることが望まれる」と結んだ。

※アマリールの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。