これまでに多数の血糖管理介入試験が実施され、合併症抑制における血糖管理の意義とともに、より具体的な管理方法が明らかになりつつある。2009年10月3日に大津プリンスホテルで開催された第32回日本高血圧学会総会ランチョンセミナーにおいて、大阪市立大学大学院の絵本正憲氏は血糖管理に関する種々のエビデンスを紹介したうえで、経口血糖降下薬を選択する際のポイントおよびSU薬を上手に使いこなすコツなどを解説した。

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 2008年の米国糖尿病学会ADA)のPresident Lectureでは、“厳格な血糖管理は本当に心血管イベントを減らすのか?”がテーマとなり3つの大規模臨床試験、ACCORD試験、ADVANCE試験、VADTの成績が報告された。いずれも、厳格な血糖管理の有用性を証明することができなかった。

 最近、これら3試験を含め、心血管イベント抑制をエンドポイントとした一連の臨床試験のメタ解析の結果が報告された。ACCORD試験の影響もあり、全体では心血管死亡抑制に対する強化療法の優位性は示されず、重症低血糖の相対的リスクは2.03という結果であった。一方、初期に実施されたUKPDS 33UKPDS 34と最近発表されたACCORD、ADVANCE、VADTに分けてサブトータルを比較すると、強化療法群の心血管死亡率(9.8%→4.6%)および重症低血糖の頻度(13.6%→6.6%)は、いずれも最近行われた試験で明らかに少ない。絵本氏は、「最近の新しい治療法により、重症低血糖を起こすことなく心血管イベントを減らせるようになってきている。結果の過程にも着目してデータを評価することが大切」と述べ、本メタ解析の結果が決して厳格な血糖管理の意義を否定するものでないことを強調した。

 現在、わが国ではSU薬をはじめ複数の種類の経口血糖降下薬が使用可能であるが、絵本氏は経口血糖降下薬の選択にあたり、(1)コントロール状態、(2)病態と作用機序、(3)副作用、(4)血糖降下作用以外の作用──を考慮すべきポイントとして挙げた。そして、HbA1c 8.0-10.0%で食後血糖値>220mg/dL、空腹時血糖値160-200mg/dLの症例でインスリン分泌低下型には第三世代SU薬のグリメピリドアマリール(R))などが適切であること、HbA1c>10.0%の症例で口渇、多飲、多尿等の高血糖症状が明らかに認められる場合も、糖毒性の解除を最優先に考え、経口薬ではグリメピリドをはじめとするSU薬をファーストチョイスとすることが望ましいとした。

 続いて絵本氏は、SU薬の種類による特性の相違について解説。グリメピリドはHbA1cが投与前7.2%から6.9%と有意な改善がみられ(p=0.05、Bonferroni test、浦風雅春ほか : 糖尿病 50 (12) : 835-841, 2007)、速やかな血糖改善効果が報告された試験にふれ、さらにグリベンクラミドに比べて少ないインスリン分泌刺激で同程度の血糖降下作用を示した例にもふれた。

 最近は、グリメピリドの膵外作用としてアディポネクチン増加作用に注目が集まっている。絵本氏らは、2型糖尿病患者40例における初回治療としてグリメピリド1mg/日を投与した成績を紹介し、低アディポネクチン群ではHbA1Cの有意な改善(9.2%→7.2%、p<0.001vs Baseline、paired t test)、HDL-コレステロールの有意な増加(44mg/dL→49mg/dL、p<0.05vs Baseline、paired t test)、アディポネクチンの有意な増加(4.5μg/mL→5.9μg/mL、p<0.01vs Baseline、paired t test)が認められ、その効果は治療前HDL-コレステロールおよびアディポネクチンがより低い患者群で顕著であることを示した。これらの知見を踏まえ、アディポネクチン変化量とHDL-コレステロール変化量との関連を検討した結果、有意な相関が認められ、同時にHbA1c の改善とも有意な相関が確認された(図)。

 さらに、グリメピリドが低血糖を比較的発現しにくいことを踏まえ、絵本氏は「SU薬を上手に使いこなすためには、低血糖の発現を抑えることがポイント。SU薬の増量は少量からゆっくり行うとともに、特に高齢者や腎不全患者、肝硬変患者においては血糖コントロール目標値だけにとらわれず、朝夕の倦怠感など低血糖症状の発現に細心の注意を払い、様子をみながら血糖コントロールを進めていくことが重要である」と、実臨床でのSU薬の使い方のコツを述べた。

※アマリールの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。