ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis;筋萎縮性側索硬化症)は、上位および下位の運動ニューロンが選択的に障害される疾患である。極めて稀な疾患であるといわれるが、進行性かつ不可逆性の神経変性疾患であるALSの罹病期間が極めて短いという特徴を勘案すると、有病率は極めて低いとしても、発症率は決して低くはない。また現在、世界各地における疫学データが患者数の増加を示しており、今後さらにALSが社会的に問題となってくることが予測される。

インタビューの詳細はこちら

 ALSは全身の運動ニューロンが障害され得るため、どの部位の運動ニューロンが最初に障害されるかによって初発症状が大きく異なる。このため、病型によっては早期診断が難しく、多くの診療科を経由して診断までに長期間を要することも少なくない。さらに、ALSには特定のバイオマーカーが存在しない点もまた診断を難しくする。ALSの診断のためには、上位運動ニューロン障害の徴候と、下位運動ニューロン障害の徴候が、同一の部位で認められることが重要で、ALS診断の1つの決め手となる。また、一貫して症状の進行が認められることも、ALSの診断に重要な要件となる。しかし、ALSは初発症状が多彩なうえ、その経過もまた多彩であることから、診断は決して容易ではない。家庭医においては、ALSの早期診断のために、40歳以上で、自覚的であれ他覚的であれ進行性に筋肉が萎縮する、あるいは筋萎縮がなくても進行性に運動機能が悪化する場合には、ALSを疑って、すぐに専門医に相談することが望まれる。

 ALSの早期診断は、無用な治療や手術を避け、唯一の治療薬であるリルゾールの投与を可能にする。また、胃瘻の造設や人工呼吸器の装着などの重大な決断について、患者と家族介護者に十分な心の準備と、環境を整え、よりよい選択を可能にするための時間を提供する。さまざまな観点から、ALSの早期診断のための努力が求められているのである。

※リルテックの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。