2型糖尿病ではインスリン分泌低下インスリン抵抗性を基盤に、糖毒性を介した悪循環が形成されていることから、厳格な血糖コントロールにより糖毒性の解除に努め、合併症の発症と進展を抑制する必要がある。様々な経口血糖降下薬が使用可能な現在、作用機序の違い・特徴を十分に理解し、個々の病態に応じて適正に使用することが重要だ。2009年5月20日に開催された第50回日本神経学会総会のイブニングセミナーにおいて、昭和大学の平野勉氏は、「動脈硬化症を見据えた新しい2型糖尿病の治療戦略」と題して講演を行った。

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薬物療法の早期介入により厳格な血糖コントロールを
 糖尿病が、脳血管障害や虚血性心疾患等の危険因子となることは、久山町研究をはじめとする各種疫学調査で明らかとなっている。糖尿病患者数が増加し続ける中、糖尿病の進行と合併症の発症および進展抑制は、わが国において解決すべき重要課題の一つである。近年、UKPDSをはじめとする大規模臨床試験で、厳格な血糖コントロールが糖尿病合併症の発症と進展の抑制に有効であることが相次いで報告された。平野氏は、「2型糖尿病患者においては、SU薬やインスリン等による薬物療法で早期に血糖の正常化を図れば、その効果が後々まで受け継がれる“遺産効果(Legacy Effect)”が認められる。したがって、糖尿病発症後早期から積極的な介入を行い厳格な血糖コントロールに努めることが重要である」と述べた。

心臓への安全性という点で第三世代SU薬に大きなメリット
 現在、わが国では複数の経口血糖降下薬が使用可能であるが、日本人の2型糖尿病ではインスリン分泌不全を原因とするケースが多いことを考えると、膵β細胞膜上のSU受容体に結合しインスリン分泌を促進するSU薬はきわめて理にかなった薬剤と言える。例えば、第三世代のグリメピリドアマリール)は、プラセボとの二重盲検比較試験でHbA1cが8.3%から6.9%へと、プラセボ群に比べ有意に低下したことが確認されている。また、SU薬においては、虚血プレコンディショニングを抑制して心筋障害を助長する可能性が指摘されているが、グリメピリドは第二世代SU薬に比べ心筋のSU受容体への親和性が低いため、そうした懸念には及ばない。実際、ラットの単離心筋細胞を用いた検討で、グリメピリドはグリベンクラミドに比べてKATPチャネル開口の阻害活性が低いことが報告されている(図)。

 最後に平野氏は2型糖尿病治療におけるインスリンの意義についても言及し、「2型糖尿病ではインスリン分泌低下とインスリン抵抗性を基盤に、糖毒性を介した悪循環が生じている。糖尿病の進行を抑え、合併症の発症と進展を抑制するためには、有効性、安全性、簡便性、経済性を考慮して適切な経口血糖降下薬を選択し、必要に応じてインスリン注射を適切なタイミングで使用して積極的に糖毒性の解除に努めることが大切である」と締めくくった。

※アマリールの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。