2型糖尿病においては、軽度の肥満、脂質代謝異常、高血圧が合併すると動脈硬化が加速度的に進行することが明らかとなっており、糖尿病と診断された時点から血糖コントロールに加え、血圧、コレステロールの統合的な管理に努めることが重要となる。2009年3月20日〜22日に開催された第73回日本循環器学会総会・学術集会のランチョンセミナーにおいて、順天堂大学の河盛隆造氏は「心血管イベント防止のための糖尿病治療は?」と題して講演を行った。

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2型糖尿病の治療ではより早期からの、“真に厳格な”血糖コントロールが求められる
 糖尿病が心血管イベントの危険因子であることは各種研究で明らかとなっており、耐糖能障害IGT)の段階から動脈硬化が進行している可能性も示唆されている。河盛氏は、頸動脈の内膜中膜複合体肥厚度(IMT)高値をみとめるHbA1c 6%前後の2型糖尿病患者の3年間の観察結果から、HbA1cが6.0%から6.5%へとやや悪化した群ではIMT値が健常人の3倍の速度で増加し、一方、6.0%から5.6%へと改善した群ではIMT値の低下がみとめられたことを挙げ、2型糖尿病患者の動脈硬化進行を阻止するには“真に厳格な”血糖コントロールが必須であり、早期からの積極的な治療介入がきわめて重要との見解を示した。

 実際、UKPDS 80では、“従来療法群”と“強化療法群”におけるHbA1cの差は介入中止後1年以内に消失したにもかかわらず、介入中止から10年後も“かつての強化療法群”では細小血管障害のみならず、全死亡や心筋梗塞のリスク低下も維持されていることが確認された(図)。

UKPDS 80および33の結果

新規発症の2型糖尿病患者4,209名からメトホルミン投与の肥満例342名を除いた3,867名を対象に、食事療法中心の従来療法群と薬剤(クロルプロパミド、グリベンクラミド、インスリン)による強化療法群に無作為に割り付け10年間(中央値)観察評価した。その後それぞれの治療法は中止し、主治医の糖尿病治療法に切り替え、1997年から2007年の初めの5年間はUKPDS実施クリニックにて、残りの5年間はアンケートにて、細小血管障害、大血管障害への影響を追跡評価した。
Holman RR et al.N Engl J Med:359:1577-1589, 2008
UK Prospective Diabetes Study(UKPDS)Group. Lancet: 352: 837-853, 1998より作図

診断直後から統合的な管理に努める
 最近は膵β細胞インスリン分泌不全のメカニズムが分子レベルで解明されつつあり、高血糖を背景とする酸化ストレスによる転写因子の不活化に起因することが証明されてきた。軽度の高血糖による膵β細胞インスリン分泌低下→肝・糖取り込み率低下→食後高血糖、という悪循環を断ち切る手段を講ずるべきである。

 軽度の脂質代謝異常や高血圧で治療中の例であって、たとえOGTT経口ブドウ糖負荷試験)の結果が境界型であっても、動脈硬化の発症・進展阻止を見据えた、さらに2型糖尿病への進展防止を見据えて、対応を考える必要がある。

 最後に河盛氏は、「2型糖尿病治療の所期の目標は今や、心筋梗塞・脳卒中の発症を防止することである。そのためには、診断直後から体重、血糖、血圧、脂質のコントロールに力を注ぎ、より早期から、より完璧なコントロールを目指したい。そのためには診断された方々が必ずかかりつけ医に治療を受けるべきことを国民に啓蒙することこそが今、最も求められる」と締めくくった。

※アマリールの詳細は添付文書(PDF)をご覧ください。