欧米のガイドラインにおける抗血小板薬の評価

 脳梗塞二次予防における抗血小板療法の有用性は確立しているが、有効性、安全性のさらなる改善が求められるなかで、初期治療での適正な薬剤選択、治療強化を可能にする併用療法の方法が模索されている。

 そこでこれらの問題に主要な欧米の脳卒中予防ガイドラインがどのような解答を提示しているかを概観しつつ、日本の状況を踏まえた抗血小板薬の選択と使い方をテーマに、内山真一郎氏(東京女子医科大学神経内科主任教授;司会)、寺山靖夫氏(岩手医科大学内科学講座神経内科・老年科分野教授)、永田泉氏(長崎大学脳神経外科教授)の3氏による討論が行われた。

 現在、日本で脳卒中の再発予防に使用されている抗血小板薬はアスピリン、チクロピジン、シロスタゾール、クロピドグレルの4剤。抗血小板薬のなかで最も古く、高頻度に使用されてきたのはアスピリンだが、さらなる有効性と安全性の改善をめざし、新たな薬剤の開発、さらには併用療法の検討が行われてきた。

 新しいチエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルは、脳梗塞患者を対象にした国内第III相試験において、有効性の主要評価項目はチクロピジンと同等であり(p=0.948,Log Rank検定)、安全性の主要評価項目がチクロピジンに比べ有意に低いこと(P<0.001、Log Rank検定)が報告された。

※クリックで拡大画像を表示

 最初に内山氏が、欧米の最新の脳卒中予防ガイドラインから、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による抗血小板療法に関する勧告(表1)に、アスピリン、クロピドグレルにそれぞれ「単独」という表記を加えられたこと、また、初期治療薬選択に関する勧告のエビデンスレベルがクラスaからクラス気悗半緇困靴燭海箸鮗┐靴拭また、アスピリン・徐放性ジピリダモール併用を積極的に推奨する記述の追加に言及した。

 また、欧州脳卒中機構(ESO)による2008年のガイドラインでは、抗血小板薬に関してAHA/ASAのものと異なった記載となっており(表2)、特にクロピドグレル単独、もしくはアスピリン・徐放性ジピリダモール併用を『Should be given』、すなわち『投与すべきである』と記載していることを示した。

※クリックで拡大画像を表示

 これを受け寺山氏は、「欧米における抗血小板療法は、特に心臓の領域で併用療法が一般化しており、虚血性脳血管障害の再発予防にあえて、アスピリン、クロピドグレルの「単独」投与を明示したのは適切だ。ESOのガイドラインではクロピドグレル単独とアスピリン・徐放性ジピリダモール併用とが同等に評価されたが、脳梗塞の二次予防において有効な薬剤は必ずしもアスピリンのみではないという認識が定着してきたのではないか」と指摘した。

 また、永田氏は「PRoFESS試験の結果をみると、ガイドラインにおいてクロピドグレルの安全性がもっと強調されてもよかったのではないか、という気がする。ESOガイドラインの記載に関しては、これまでのエビデンスを考えて妥当な記載だと思う」と述べた。

※プラビックスの詳細は添付文書をご覧下さい。