血管石灰化糖尿病慢性腎不全の症例において、虚血性心疾患脳血管障害などを誘発する因子として注目され、発症機序の解明や治療法の開発に期待が寄せられている。近年、血管石灰化の基礎研究が進み、その病態形成過程が解明されつつある。第25回日本骨代謝学会学術集会のランチョンセミナー(共催:大日本住友製薬株式会社)では、「血管石灰化とその制御」をテーマに産業医科大学医学部第一内科学講座の岡田洋右氏、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章氏が、基礎および臨床的な側面から血管石灰化の最新知見を紹介した。

 岡田氏は、骨粗鬆症治療薬として広く使用されている第一世代ビスフォスフォネートであるエチドロネートEHDP)の異所性石灰化に対する効果に着目し、血管平滑筋細胞の石灰化誘導の機序と、それに対するEHDPの抑制効果を検討した。その結果、血管石灰化に最終糖化反応生成物(AGE)が関与し、用量依存性に石灰化を起こすことを明らかにした。また、大動脈に石灰化を認め、骨量の減少を伴う慢性期血液透析患者を対象にした検討では、EHDP非投与群では経時的に腹部大動脈の石灰化面積が増加したのに対して、EHDP投与群では石灰化面積の増加が有意に抑制された。

 稲葉氏は、血管石灰化は従来考えられてきた「細胞が壊死した状態でカルシウムが沈着するという受動的な過程」ではなく、「骨が形成される能動的な過程」とし、健常状態では抑制されていた血管平滑筋細胞の形質転換が、高リン血症では骨芽細胞様の石灰化過程をとることを示した。さらに、大動脈のアテローム硬化型の石灰化は、非糖尿病、糖尿病の患者の双方において全死亡率、心血管死亡率の有意な独立した危険因子であり、この血管石灰化の制御は透析患者のQOLの向上と死亡率の低下に有用であると述べた。(詳細PDFはこちら