腰部脊柱管狭窄症の治療に用いられる経口プロスタグランジンE1誘導体製剤(PGE1誘導体製剤)は、下肢のしびれや疼痛などの神経血流改善作用が評価されてきた。この神経血流改善作用に注目した久留米大学医学部整形外科准教授の佐藤公昭氏らは、頸椎症6例、頸部脊髄症28例、頸部神経根症21例の計55例(男性40例、女性15例)を対象に、PGE1誘導体製剤による頸椎疾患に伴う神経症状の改善効果について検討を行い、6月6日に開催された第44回日本リハビリテーション医学会学術集会で報告した。

 報告によると、上肢痛と下肢のしびれはPGE1誘導体製剤(15μg/日)投与2週目から有意にVisual Analogue Scale(VAS)の改善を示し、上肢のしびれと頸部痛については4週目から改善した(図1参照)。全症例のJOAスコアは2週目から有意な改善を得た。JOAスコア本来の適応である頸部脊髄症28例と、頸部神経根症21例をさらに比較検討したところ、有意な改善は頸部神経根症のみに認められるという結果だった。有効性の有無を明確にするため対象を頸部脊髄症に絞り、JOAスコアで重症例と軽症例に分類して検討した結果、上肢のしびれと頸部痛においてVASの改善を認め、PGE1誘導体製剤は頸部脊髄症の軽症例で神経症状の改善が期待できることが明らかになった。

 なお、全55例中3例(5.45%)に顔面の腫脹、倦怠感、味覚障害といった症状を認めたが、投与中止により速やかに消失している。

図1 VASの変化(出典:第44回日本リハビリテーション医学会学術集会にて発表、佐藤氏提供)

 頸椎疾患の神経症状には静的圧迫因子、動的因子、発育性脊柱管因子、循環因子などの神経症状発現因子が関与しているが、以上の結果から、「PGE1誘導体製剤は循環因子の改善によって症状が緩和するのではないか」と考察している。PGE1誘導体製剤の頸椎疾患の神経症状に対する治療効果の検討はこれまでに報告数が少ないことから、さらなる検討によりPGE1誘導体製剤の有用性の検証が望まれる。