今年3月に、財団法人日本アレルギー協会主催の「アレルギー研修会2006」が長野で開催された。慢性咳嗽の治療に関しては札幌医科大学内科学第三講座助教授の田中裕士氏が、スギ花粉症の最新の治療に関しては大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻教授の荻野敏氏がそれぞれ講演をした。座長は信州大学内科学第一講座教授の久保惠嗣氏である。

 慢性咳嗽の治療に関して田中氏は、「咳喘息とアトピー喘息の鑑別に当たっては、その臨床症状の違いから診断しているケースが多いが、ACE阻害薬服用例を除外した乾性咳嗽症例に気管支拡張薬を投与し、軽快がみられる場合は咳喘息、みられない場合はアトピー喘息と鑑別できる」とし、「咳喘息では気道過敏性が亢進しており、その約30%は喘息に移行するというデータがあるので、吸入ステロイド薬やβ2刺激薬で治療することが重要である」と述べた。

 一方、喘息のコントロールには吸入ステロイド薬が使われているが、喘息症状が悪化すると末梢気道病変が強くなることを田中氏は確認しており、「重篤な喘息発作の治療には、末梢気道まで届く粒子の小さな吸入ステロイド薬の方がより有効であると考えられる」と述べた。

 荻野氏は、「スギ花粉症の最新治療に関して、アレルギー性鼻炎に対する薬物療法は、個々の病態に適した薬剤の選択が最も重要である」と述べた。「アレルギー性鼻炎は、症例によって病態が異なっており、くしゃみ・鼻汁を主訴とする症例に対しては抗ヒスタミン薬が有効で、鼻汁に対しては抗コリン薬や血管収縮性点鼻薬が特に有効である」とし、「一方、持続する重篤な鼻閉を主訴とする症例に対しては、ロイコトリエン拮抗薬、トロンボキサンA2拮抗薬、ステロイド薬が有効である」と述べた。また、近年初期療法によって花粉飛散期の鼻症状が有意に改善することが明らかになっている現状をふまえ、初期療法(エバスチン5〜10mg/dayを7日間以上服用)を行った群と非初期療法群における花粉飛散期のQOLを比較したところ、初期療法群で有意に良好であることが認められたとの研究結果を紹介した。

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