高齢者の主訴である腰痛は、その大きな原因の一つに腰部脊柱管狭窄症が挙げられる。9月に開かれた日本臨床内科医学会で、永田見生氏(久留米大学医学部整形外科学講座主任教授)はその診断と治療について次のように講演した。

 腰部脊柱管狭窄症の特徴的な臨床症状としては、間欠跛行、腰痛、下肢痛、下肢の脱力やしびれ、さらには泌尿器系の症状も現れることもある。患者の中にはこれらの症状が腰下肢痛と関連するとは考えにくいために訴えが出づらく、問診時に注意が必要である。間欠跛行の有無で診断することも可能だが、その際は神経性と血管性との鑑別が必要になってくる。

 そこで、プライマリケアの段階で腰部脊柱管狭窄症の診断を補助するものとして、腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールが発表された(表)。これはあくまで診断を補助するものであり診断基準ではないが、腰部脊柱管狭窄症の患者を見分けることができる(感度92%)。

 腰部脊柱管狭窄症患者の治療として、薬物療法は実に90%以上もの患者で行われている。従来、NSAIDsやビタミン製剤などが用いられていたが、現在は唯一腰部脊柱管狭窄症に対する適用をもつ薬剤として経口プロスタグランジンE1 誘導体製剤リマプロストが多く用いられている(図)。

 腰部脊柱管狭窄症は、プライマリケア医において初期診断、治療を行うことの多い疾患である。症状が必ず悪化していくと誤解する患者も多くいるが、薬物治療や手術療法で再安定化して症状の軽減する症例は少なくないことを患者に知らせ、誤解のないよう治療を進めていくことが重要である。(詳細PDFはこちら)