肺炎の治療法は、重症度、原因微生物、治療薬などの条件によって多様な選択肢がある。欧米と日本では原因菌の頻度、使用抗菌薬、薬剤感受性などに差があるため、日本独自のガイドラインが求められていた。

 日本呼吸器学会は2000年に『成人市中肺炎診療の基本的考え方』を公表。2005年にはこれを『成人市中肺炎診療ガイドライン』と改訂した。この改訂ガイドラインの作成委員を務めた倉敷中央病院呼吸器内科主任部長の石田直氏は、第54回日本化学療法学会総会教育セミナーにおいて、改訂ガイドラインの特徴と同病院で実施している市中肺炎のクリニカルパス(CP)の考え方と実際について講演した。その主な内容を紹介する。

 

 改訂ガイドラインの大きな特徴は、細菌性肺炎非定型肺炎の鑑別を重視していることである。同病院における市中肺炎患者の起炎菌の頻度をみても、65歳以上では肺炎球菌が約30%と最も多く、次にインフルエンザ菌が続き、マイコプラズマの頻度は低い。一方、60歳未満の患者では、マイコプラズマが肺炎球菌に次いで多く、約20%を占める。この点が欧米とは異なるため、細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別が重要になる。

 同病院では、2000年に初めて市中肺炎のCPを導入した。その後、全体として日本呼吸器学会の改訂ガイドラインに準拠した形でCPを改訂した。改訂CPにおける初期治療の流れを図1に示す。入院時には、肺炎球菌の尿中抗原検査または喀痰のグラム染色による迅速診断を行う。迅速診断でSP(肺炎球菌)群に該当しない場合は、4項目からなる非定型肺炎と細菌性肺炎の鑑別を行う。4項目すべて合致する場合はAP(非定型肺炎)群、合致しない場合はBP(細菌性肺炎)群とし、図1に示した抗菌薬を原則選択する。2006年4月までに70例が改訂CPに沿って治療されたが、ほぼ満足のいく結果が得られた。平均在院日数もCP導入前に比べて短縮されたと考えている。(詳細PDFはこちら)

図1 市中肺炎の初期治療に関する改訂クリニカルパス(倉敷中央病院による)