米国胸部学会(ATS)と米国感染症学会(IDSA)は、2005年2月、HAP(Hospital-Acquired Pneumonia:院内肺炎)、VAP(,Ventilator-Associated Pneumonia:人工呼吸器関連肺炎)、HCAP(Healthcare-Associated Pneumonia:介護施設肺炎)の新しい治療ガイドラインを共同で作成し、発表した。

 同ガイドラインの作成に参加したニューヨーク州立大学教授のMichael S.Niederman氏は、第46回日本呼吸器学会学術講演会(2006年6月、東京)のセミナーで講演し、このガイドラインの要点を紹介するとともに、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)肺炎治療の最近の進歩について述べた。

 Niederman氏によると、このガイドラインは、新しくHCAPを含めた点が大きな特徴だという。HCAPは「発症前90日間に2日以上の入院歴がある」「介護施設から入院」「透析・外傷治療中」などの背景を持つ患者に発症した肺炎。これらの背景を持っていれば、入院時に既に肺炎を発症していた場合もHCAPに含まれるが、従来のガイドラインでは、これらの肺炎はCAP(Community-Acquired Pneumonia:市中肺炎)とされ、必ずしも多剤耐性菌を念頭に置いた治療がなされていなかった。

 HAP、VAP、HCAPでは多剤耐性菌感染が疑われ、特に緑膿菌アシネトバクター、MRSAの3つが重要視される。そのため、ガイドラインでは、これらの多剤耐性菌に作用を有する抗菌薬を併用した広域スペクトル・エンピリック治療を推奨している。

 MRSAの治療薬としては、リネゾリドあるいはバンコマイシンが推奨されている。しかし、臨床試験の結果では、リネゾリドの方が生存率、治癒率などに関して優れており、またバンコマイシンはアミノグリコシド系薬との併用で腎毒性が問題となることから、リネゾリドの方が利点は多いとしている。(詳細HTMLはこちら) (PDFはこちら)