ドイツProfil InstituteのTim Heise氏

 インスリン デグルデク(以下、デグルデク)を強化インスリン療法の基礎インスリンとして使用した1型糖尿病患者の運動による低血糖の発現リスクは低く、インスリン グラルギン(以下、グラルギン)と同様であることが示された。12月2〜6日にメルボルンで開催された世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で、ドイツProfil InstituteのTim Heise氏らが報告した。

 インスリンを投与している糖尿病患者では、通常であれば適切な投与量であっても、運動によって組織のエネルギー需要が高まった状況下では、低血糖の発現リスクが高まる可能性がある。そこで、より作用時間が長い持効型インスリンアナログ製剤と運動時の低血糖の関連性についても、検討が必要となっていた。

 本研究は、最大酸素摂取量で35〜60mL/O2/kg/minの運動耐容能があり、週当たりの身体活動量が500MET・分以上(1〜1.5時間の軽いランニングに相当)ある1型糖尿病患者40例(男性35例、女性5例)を対象とした。平均年齢は33.9歳、BMIは23.9 kg/m2、HbA1cは7.7%、最大酸素摂取量は39.4mL/O2/kg/minだった。

 本試験は、単一施設で行われた非盲検、無作為割り付け、並行群間比較試験で、基礎インスリンとして持効型インスリン製剤であるデグルデクとグラルギンを、クロスオーバー法で比較した。

 基礎インスリンは1日1回(午前7時)投与し、毎食後の追加インスリンはインスリン アスパルトを使用した。14〜28日間の導入期間に目標血糖値4〜6mmol/L(72〜108mg/dL)を達成するよう用量を調節、その後、維持期間に移行し、5日目に運動負荷試験を行った。当日の食事時間は午前7時、正午、午後6時とし、午後3時に30分間、自転車エルゴメーターで最大酸素摂取量が65%となる強度の運動を行い、運動開始から24時間後までの血糖変動と低血糖について検討した。

 主要評価項目は、運動前の血糖値と運動中の最も低い血糖値の群間差、副次的評価項目は運動中の平均血糖値、および運動後2.5時間までの平均血糖値と最低血糖値とした。また、運動開始から24時間後までの低血糖(第三者による処置を必要とする低血糖、および症状の有無にかかわらず血糖値が3.1mmol/L[55.8mg/dL]未満の場合)の発現を評価した。

 維持期間のインスリン投与量や1日5回の血糖自己測定による血糖のコントロール状況、運動開始時の血糖値は、両群で同等だった。運動により両群とも穏やかに血糖値が低下し、運動中の血糖値の変化量の差(デグルデク−グラルギン)は0.14mmol/L(95%信頼区間[CI]:−0.15〜0.42、P=0.34)で、有意な群間差を認めなかった。

 運動後2.5時間までの血糖変動にも差はなかった(両群の血糖値の差[デグルデク−グラルギン]の推定値:−0.50mmol/L、95%CI:−1.14〜0.15、P=0.13)。また運動中に低血糖は1件も発生しておらず、24時間後までの低血糖の発現頻度も同等だった(デグルデク群:18件/13人、グラルギン群:23件/15人、相対リスク[デグルデク/グラルギン]の推定値:0.76、95%CI:0.40-1.45)。

 Heise氏は、「基礎インスリンにデグルデクを用いて強化インスリン療法を行っている1型糖尿病患者について、運動による低血糖の発現リスクは低く、グラルギンを用いた場合と同等だった」と述べた。