オーストラリアRoyal North Shore HospitalのGregory Fulcher氏

 持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)と超速効型インスリンアナログ製剤であるインスリン アスパルト(以下、アスパルト)の配合製剤(以下、IDegAsp)は、良好な血糖コントロールと低血糖発現頻度の軽減を期待できることが分かった。オーストラリアRoyal North Shore HospitalのGregory Fulcher氏らが、IDegAspの第3相臨床試験のメタ解析の結果を、12月2〜6日にメルボルンで開催された世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で報告した。

 Fulcher氏は今回、一連のIDegAspの第3相臨床試験プログラムであるBOOSTから、2試験BOOST INTENSIFY PREMIX I(以下、PREMIX)とBOOST INTENSIFY ALL(以下、ALL)を併合したメタ解析を行った。

 2つの試験はともに、二相性インスリン製剤アスパルト30(以下、BIAsp 30)を対照薬とする、無作為割り付け、非盲検、多施設共同の国際並行群間比較試験。登録基準は、HbA1c値7.0〜10.0%の2型糖尿病患者で、BMIについてはPREMIXが40kg/m2以下、ALLが35kg/m2以下だった。

 PREMIXは446例が登録された。前治療として混合型またはself-mixedのインスリン(1日1〜2回)±経口血糖降下薬を3カ月以上使用していた患者を対象とし、IDegAsp群(224例)およびBIAsp 30群(222例)に1対1で割り付けた。併用薬としてメトホルミン、DPP-4阻害薬、ピオグリタゾンの継続を許容した。

 ALLは422例が登録された。前治療として基礎インスリン、混合型またはself-mixedのインスリン(1日1〜2回)±メトホルミンを3カ月以上使用していた患者を対象とし、IDegAsp群(282例)とBIAsp 30群(142例)に2対1で割り付けた。併用薬としてメトホルミンの継続を許容した。

 いずれの試験も、空腹時血糖値の目標値を設定し、事前に決められたアルゴリズムで投与量を調節するtreat-to-target法で行った。試験期間は26週間で、IDegAspあるいはBIAsp 30は朝夕食前の1日2回、投与した。

 IDegAsp群(504例)のベースラインのHbA1c値はPREMIXで8.3%、ALLで8.4%、BIAsp 30群(364例)ではどちらも8.4%だった。2試験を併合した解析では、試験終了時にはIDegAsp群は7.06%に、BIAsp 30群7.07%にそれぞれ低下した(有意差なし)。空腹時血糖値は、IDegAsp群がBIAsp 30群に比べ−1.12mmol/L(95%信頼区間[95%CI]:−1.38〜−0.85、P<0.0001)、有意に低下した。

 試験終了時のインスリン1日投与量は、BIAsp 30群の1.1U/kgに対しIDegAsp群では0.9U/kgとなり、投与量の比(IDegAsp/BIAsp 30)の推定値は0.84(95%CI:0.80-0.89、P<0.0001)で、IDegAsp群が有意に少なかった。

 全ての低血糖(第三者による処置を必要とする低血糖もしくは症状の有無にかかわらず血糖値が3.1mmol/L未満の場合)の発現件数の比(IDegAsp/BIAsp 30)の推定値は0.81(95%CI:0.67−0.98、P<0.05)で、IDegAsp群が19%有意に少なかった。夜間低血糖(全ての低血糖の中で、午前0時1分から5時59分の間に発症した場合)の発現件数の比の推定値も0.43(95%CI:0.31−0.59、P<0.0001)で、IDegAsp群が57%有意に少なかった。

 インスリン投与量が安定した16週以降の維持期間に限定した検討では、全ての低血糖はIDegAsp群で31%(P<0.05)、夜間低血糖では62%(P<0.0001)、IDegAsp群がそれぞれ有意に少なかった。

 Fulcher氏は、「IDegAspが血糖値を改善することはもちろんだが、低血糖が少ないことがより大きな恩恵と言える。特に、投与量が安定した時期における低血糖がより少ないことは、患者にとって福音となるだろう」と語った。