米Endocrine and Metabolic ConsultantsのHelena W. Rodbard氏

 1型糖尿病の中でインスリン投与量が多い患者に対しても、持効型溶解インスリンアナログ製剤インスリン デグルデク(以下、デグルデク)はインスリン グラルギン(以下、グラルギン)と同等の血糖降下作用を示し、夜間低血糖の発現は有意に少なかったと、12月6日までメルボルンで開催されていた世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で、米Endocrine and Metabolic ConsultantsのHelena W. Rodbard氏らが発表した。

 肥満の1型糖尿病患者では高用量のインスリンを必要とすることが多く、それだけ低血糖に対しても注意が必要となる。そこでRodbard氏らは、デグルデクの第3相臨床試験として1型糖尿病患者を対象に行われた2つの試験を併合し、低血糖の発現頻度についてインスリン投与量が0.45U/kgを超えていた患者を対象にメタ解析を行った。

 併合した試験は、強化インスリン療法を行っている患者を対象に行った52週の試験と、デグルデクの1日の投与時間を検討する26週の試験。いずれもグラルギンを対照薬とする非盲検、無作為割り付け、並行群間比較試験で、空腹時血糖値の目標値をあらかじめ設定し、決められたアルゴリズムでインスリン投与量を調整するtreat to target法により実施された。

 試験終了時のインスリン投与量が0.45U/kgを超えていたのは、併合したデグルデク群の23.1%(635例中147例)、グラルギン群の27.9%(315例中88例)であり、両群の試験終了時の平均インスリン投与量は、デグルデク群が0.63U/kg、グラルギン群が0.65U/kgだった。

 デグルデク群のHbA1cはベースライン時の8.0%から試験終了時には7.4%に、グラルギン群では8.2%から7.6%に、それぞれ低下した。HbA1c変化量の群間差(デグルデク−グラルギン)の推定値は−0.08%(95%信頼区間[95%CI]:−0.29〜0.12)でデグルデク群が上回ったが、統計学的に有意差はなかった。空腹時血糖値もデグルデク群では9.64mmol/L(173.5mg/dL)から7.39mmol/L(133.0mg/dL)に、グラルギン群では9.89mmol/L(178.0mg/dL)から7.55mmol/L(135.9mg/dL)にそれぞれ低下し、変化量の群間差の推定値は−0.48mmol/L(95%CI:−1.54〜0.58)とデグルデク群が上回ったが、有意差はなかった。

 全ての低血糖(症状の有無にかかわらず血糖値が3.1mmol/L[56mg/dL]以下となった場合、または第三者による処置が必要な低血糖症状を来した場合)の発現頻度は、試験全期間およびインスリン投与量の調節を終えた維持期間のどちらでの評価も、両群で差はなかった。

 一方、夜間低血糖(全ての低血糖のうち、午前0時1分から5時59分の間に起きたもの)では試験全期間(RR:0.64、95%CI:0.42-0.99、P=0.046)、維持期間(RR:0.56、95%CI:0.33-0.95、P=0.033)ともに、患者当たりの年間発現件数の比はデグルデク群で有意に少なかった。

 両試験すべての患者での夜間低血糖でも、試験全期間ではデグルデク群の方が低い傾向にあり、維持期間では患者当たりの年間発現件数の比(デグルデク/グラルギン)の推定値は0.75(95%CI:0.60-0.94)と、デグルデク群が有意に低かった。

 Rodbard氏は「デグルデクは、1型糖尿病の中でインスリン投与量が多い患者の夜間低血糖をグラルギンよりも有意に低下させ、血糖降下作用は同等だった。この傾向は試験対象患者全体でも一貫して見られており、インスリン投与量にかかわらずデグルデクの忍容性と安全性が示された」としている。