米ヒューストンBaylor College of MedicineのAlan J. Garber氏

 米ヒューストンBaylor College of MedicineのAlan J. Garber氏らは、持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)の第3相臨床試験の事後解析から、デグルデクは既存の持効型インスリン製剤に比べ、2型糖尿病患者における重大な低血糖の発現リスクを減少させたと、12月6日までメルボルンで開催されていた世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で発表した。

 Garber氏らは、デグルデクの第3相臨床試験に含まれる5つの試験を対象に事後解析を行った。5つの試験はいずれも、インスリン グラルギン(以下、グラルギン)を対照薬としており、そのうち4試験は基礎インスリンと経口血糖降下薬の併用療法(BOT)を行っている2型糖尿病患者が対象で、さらにその中の3試験はインスリン新規導入患者を対象とし、残りの1試験は強化インスリン療法を行っている者を対象とした。

 5試験を合わせた解析対象者数は、デグルデク群2262例、グラルギン群1110例だった。なお、各試験におけるデグルデク群とグラルギン群の患者背景(性別、年齢、糖尿病罹病期間、BMI、HbA1c、空腹時血糖値)は同様だった。

 今回の解析における重大な低血糖の定義は、第三者による処置を必要とする低血糖もしくは症状の有無にかかわらず血糖値が2.3mmol/L(41.4mg/dL)未満だった場合とし、それらが午前0時1分から5時59分の間に発症した場合を重大な夜間低血糖とした。

 5試験においてあらかじめ定められていた評価項目である「全ての低血糖」(第三者による処置を必要とする低血糖、および症状の有無にかかわらず血糖値が3.1mmol/L[55.8mg/dL]未満の場合)の患者当たり年間発現件数の比(デグルデク/グラルギン)の推定値は0.83(95%信頼区間:0.74-0.94)で、デグルデク群の方が17%、有意に少なかった。

 今回の評価基準である血糖値2.3mmol/Lを閾値に用いた重大な低血糖についての患者当たり年間発現件数の比の推定値は0.67(95%CI:0.56-0.82)で、グラルギン群に比べデグルデク群が33%、有意に少なかった(P<0.001)。

 BOT患者に限定するとこの傾向はより著明になり、血糖値3.1mmol/Lを閾値とした場合の全ての低血糖の患者当たり年間発現件数の比の推定値は0.83(95%CI:0.70-0.98)、2.3mmol/Lを閾値とした場合の重大な低血糖の患者当たり年間発現件数の比の推定値は0.55(95%CI:0.39-0.76)と、いずれもデグルデク群で有意に少なかった。

 夜間低血糖においては、血糖値3.1mmol/Lを閾値とした場合の患者当たり年間発現件数の比の推定値は0.68(95%CI:0.57-0.82)で、デグルデク群が有意に少なかった。一方、2.3mmol/Lを閾値とした場合の夜間重症低血糖は患者当たり年間発現件数の比の推定値は0.73(95%CI:0.53-1.01)となり、統計的有意差は見られなかった。

 Garber氏は、「グラルギンに比べデグルデクでは、血糖値2.3mmol/Lを閾値とする全ての重大な低血糖の発現リスクが33%、有意に減少した。さらに同値を閾値とする夜間の重大な低血糖の発現リスクも(統計的有意差は見られなかったが)27%減少した」と結論した。その上で「夜間の重大な低血糖の発現リスクにおいて有意差を認めなかった理由は、発生件数が少なかったことが一因とみられる」と考察した。