米Penn State College of MedicineのHeather Stuckey氏

 現代医療において治療成績をさらに向上させるためには、医療者側からの一方的な介入ではなく、患者や家族の考えに耳を傾け、より良好な関係性を構築・維持することが重要とされる。しかし、糖尿病患者と家族、および医療従事者の糖尿病へのニーズを調査した国際共同研究「DAWN(Diabetes Attitudes, Wishes and Needs)2調査」から、患者や家族の願いは糖尿病の根治が最も多く、その次に新薬と体重の改善であるのに対し、医療従事者は患者教育や啓発活動の必要性を第一に考えているなど、両者に微妙な違いがあることが明らかになった。米Penn State College of MedicineのHeather Stuckey氏らが、12月6日までメルボルンで開催されていた世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で発表した。

 DAWN2調査は、糖尿病患者とその家族、糖尿病治療に携わる医療従事者の心理的・社会的アウトカムを評価し、糖尿病ケアの障壁や課題を抽出して必要な改善点を明らかにすることを目的として行われた。本結果はDAWN2調査の中の定性調査をまとめたもので、欧米や日本、インドなどの17カ国に居住する18歳以上の糖尿病患者8596人、糖尿病患者と暮す家族2057人、医療従事者(一般医、糖尿病専門医、看護師、栄養士、その他医療従事者)4785人を対象とした。

 Stuckey氏らは、「糖尿病の自己管理において改善が望まれるもの」という質問に対する回答の上位3件を公表した。糖尿病患者では「糖尿病の根治または根治につながる新たな発見」を望む回答が最も多かった。この「根治」と言う言葉には、「健常者と同じように生活すること」や「糖尿病の克服」といった意味合いが含まれていた。また「新たな発見」には、「膵臓移植」や「血糖値をモニターして自動的にインスリンを注入する植え込み型機器」が含まれていた。2番目に多かったのは、「糖尿病治療のための新規薬剤やサプリメント」だった。具体的には、1日1回の投与ですむ薬剤や副作用のない薬剤への期待だった。3番目は「体重の減量」で、これは調査を実施したすべての国で優先順位が高かった。

 患者の家族では、患者と同様に「根治」を望む声が最も多かったが、「家族として糖尿病の知識を深めること」との回答もほぼ同数だった。「もっと分かりやすい糖尿病の説明」や、「質問をいつでも受けてくれる窓口がほしい」との要望もあった。3番目は「糖尿病診療水準の向上」だった。

 一方、医療従事者からは、「患者教育の充実」が最も多かった。2番目は「疾患およびその予防に関する一般市民への啓発」、3番目は「インスリンや治療に必要な物品類、治療そのものに対する補助」だった。

 Stuckey氏は、「糖尿病の患者や家族は根治を最も望んでいたが、医療従事者は患者教育の必要性を強調しており、両者の思いは一致していなかった。今回収集された多くの声は、糖尿病の治療や自己管理において何を改善すべきかだけでなく、どのようにしたら改善できるのかも示唆するものだ」と考察した。