ニュージーランドCapital and Coast District Health BoardのLindsay McTavish氏

 1型糖尿病患者の低血糖症には、小児1型糖尿病患者の場合と同様に、体重ベースで算出した量のブドウ糖で対処することが有効である可能性が示された。0.3g/kgのブドウ糖による治療プロトコールは、現在の主な勧告である全患者一律15gのブドウ糖を使用するプロトコールよりも有効であることも示唆された。ニュージーランドCapital and Coast District Health BoardのLindsay McTavish氏らが、12月6日までメルボルンで開催されていた世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で発表した。

 1型糖尿病患者の低血糖症については、単炭水化物の種類や量が大きく異なるさまざまな値が推奨されている。例えば、オーストラリアやニュージーランド、シンガポールのガイドラインではブドウ糖を15g投与、英国では10〜20g、米国では15〜20gであり、欧州では15〜30gとなっている。一方、小児1型糖尿病患者の場合は、低血糖症治療の際、過度のリバウンドによる高血糖を回避するため、体重1kg当たり0.3gのブドウ糖を与える体重ベースの治療プロトコールをとっている。そこで今回McTavish氏らは、成人の低血糖症においてもこの体重ベースの治療プロトコールが効果的であるかどうかを検討した。

 対象は、1型糖尿病患者34例(男性21例、22〜71歳)とし、0.2g/kgで治療する0.2g/kg群、0.3g/kgで治療する0.3g/kg群、そして従来通り15gのブドウ糖錠剤(Dextro)で治療するコントロール群と、治療プロトコールごとに3群にランダム化して分類した。ベースライン時の血糖値は各群とも平均3.1mmol/Lと同値で、有意差は認めなかった。

 血糖値は、各患者自身が血糖測定機「ACCU-CHEK Nano meter」を用いて記録した。4mmol/L未満だった場合を低血糖症と定義した。低血糖症治療を行った10分後にも、再度血糖測定をし記録してもらった。低血糖状態が続いた場合は、10分間隔で治療を繰り返した。これらの低血糖症エピソードを郵送で収集した結果、低血糖症エピソードは418件集まった。うち101件が再治療を行っており、18件は2回以上再治療を行っていた。

 3群間で治療成績を比較すると、治療10分後の血糖値は、0.3g/kg群が4.6mmol/Lと、他の2群に比して有意に高くなっていた(P=0.009)。10分間の血糖値変化も、0.3g/kg群が他の2群に比して有意に大きかった(P=0.023)。

 また、再治療の大半は、平均血糖値が3.1mmol/L未満である例で起こっていた。このような症例では、低血糖症状を解消するためには、初回投与するブドウ糖を倍量の0.6g/kgにすべきであることも示唆された。

 これらの結果からMcTavish氏は、「体重ベースの低血糖症治療プロトコールを使用すれば、10分で血糖値を1.5mmol/L上昇させることが期待できる」とし、「成人1型糖尿病患者の症候性低血糖症を治療するには、体重1kg当たりブドウ糖を0.3kg使用する体重ベースの治療プロトコールが最も効果的で、全患者一律15gのブドウ糖を使用すべきという現在の勧告よりも有効だった」と結論した。