持効型インスリン製剤を投与する場合、低血糖の再発に対する注意が必要となる。持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)について、2型糖尿病患者を対象とした第3相臨床試験のデータを事後解析した結果、対照薬であるインスリン グラルギン(以下、グラルギン)に比べてデグルデクは作用持続時間がより長いにもかかわらず、低血糖の再発リスクの増加はみられなかった。米ヒューストンBaylor College of MedicineのAlan J. Garber氏らが、12月2日にメルボルンで開幕した世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で報告した。

 Garber氏らが今回解析対象とした試験は、デグルデクの第3相臨床試験として実施されたBEGIN Once Long、BEGIN Low Volume、BEGIN Once Asia、BEGIN Flex、BEGIN BBの5試験。これらの試験は、罹病期間が6カ月以上でHbA1cが7〜10%(BEGIN Flexのみ7〜11%)の2型糖尿病が対象で、対照薬はグラルギンとした、非盲険、無作為割り付け、26週または52週投与、treat-to-target(空腹時血糖値が目標値となるようあらかじめ定められたアルゴリズムで投与量を調節する)試験だった。

 BEGIN BB試験ではインスリン アスパルトを併用する強化インスリン療法として、その他の4試験は経口血糖降下薬と併用して(basal-oral therapy:BOT)、デグルデクまたはグラルギンを1日1回投与した。また、BEGIN Once Long、BEGIN Low VolumeおよびBEGIN Once Asiaは、インスリン治療歴のない患者を対象とした。

 低血糖の定義は(1)全ての低血糖:重大な低血糖(第三者による処置が必要な低血糖)および低血糖症状の有無に関わらず血糖値が56mg/dL未満(2)夜間低血糖:全ての低血糖のうち、午前0時01分から午前5時59分に発現したもの(3)再発性の低血糖:(1)で定義した低血糖の発現後24時間以内に発現したもの(初回発現より2件目以降)――とした。

 低血糖は、負の二項分布回帰モデルを用いて解析した。モデルには、試験、投与群、地域、性別、スクリーニング時の糖尿病治療を固定効果、年齢を共変数として含めた。

 メタ解析には、デグルデクを投与した2262例およびグラルギンを投与した1110例を含めた。BOTを実施した4試験を併合した結果、再発性の低血糖を発現した患者の割合は、デグルデク群で6.1%(1518例中92例)、グラルギン群で6.6%(862例中57例)だった。再発性の低血糖の患者あたりの年間発現件数の比(デグルデク/グラルギン)の推定値は0.92(95%信頼区間[95%CI]:0.62-1.38)だった。

 一方、強化インスリン療法を実施したBEGIN BB試験において再発性の低血糖を発現した患者の割合は、デグルデク群で38%(744例中286例)、グラルギン群で44%(248例中109例)だった。再発性の低血糖の患者当たりの年間発現件数はグラルギン群と比較してデグルデク群で27%減少し、その差は統計的に有意だった(再発性の低血糖の患者当たりの年間発現件数の比の推定値:0.73、95%CI:0.54-0.99、P=0.04)。

 すべての試験を併合した解析では、再発性の低血糖の患者当たりの年間発現件数の比の推定値は0.82(95%CI:0.65-1.03)で、統計的な有意差は見られなかった。

 これらの結果からGarber氏は、「デグルデクは、グラルギンに比べて作用持続時間がより長いにもかかわらず、低血糖の再発リスクの増加は見られなかった。特に強化インスリン療法の基礎インスリンとしてデグルデクを用いた場合、グラルギンに比べ低血糖の再発リスクが低下し、その差は統計的に有意だった。今後、前向き試験による検討が必要だ」とまとめた。