米Fibrogen IncのBrian Roberts氏

 新規経口低酸素誘発因子HIF安定化剤であるFG-4592は、CKDを合併した糖尿病患者の腎性貧血治療において、忍容性が良好であり、ヘモグロビン値を増加させ、それを維持することが示された。ESA(造血刺激因子)製剤の治療が初めての患者を対象としたオープンラベル第II相試験のサブ解析の結果、明らかになった。米Fibrogen IncのBrian Roberts氏らが12月2日、メルボルンで開幕した世界糖尿病会議2013IDF-WDC2013)で発表した。

 FG-4592は新規のHIFで、内因性エリスロポイエチンを増加させ、鉄(Fe)の吸収/利用を増加させる。今回のサブ解析は、CKDで貧血がある成人患者(透析は未導入)で、ESA(造血刺激因子)製剤による治療が初めての患者(145)を対象に行われたFG-4592のオープンラベル第II相試験をベースにしている。この試験の対象者のうちの糖尿病患者(n=107、 74%が2型糖尿病)を対象に検討した。

 FG-4592の開始用量(50〜150mg)によって6セットのコホートを設定し、ヘモグロビン目標値を11-13g/dLとし16〜24週間の治療を行った。用量滴定を4週間ごとに行い、ヘモグロビン値の適正化と維持の頻度を評価した。

 試験参加者にはベースラインでの鉄の補充はせず、介入中の鉄の静注も行われなかった。どのコホートにおいても、糖尿病参加者の数(コホート当たり15〜19人)、ヘモグロビン値(平均9.7g/dL)などにおいてベースラインの特徴は同等だった。約50%の患者はベースラインで鉄不足であった。

 ヘモグロビン目標値まで治療した結果、ヘモグロビンの平均ピーク値は1.9g/dL増加(コホート範囲:1.4-2.3g/dL、P<0.0001)し、反応率(ヘモグロビン値≧11g/dLでベースラインからの変化量が≧1g/dLと定義)は83-100%と高率だった。ヘモグロビン反応率および反応までの時間は、コホートそれぞれの開始用量に依存していた。

 ヘモグロビンの反応はベースラインの鉄量に関係なく観察された。また、反応率は経口の鉄剤を摂取していた患者(1/3)と摂取していなかった患者(2/3)で同等だった。

 どのコホートにおいても、被験者のスタチン使用の有無にかかわらず、総コレステロールはベースライン(178.6mg/dL)から平均ピーク値で14.3%の減少を認めた(治療開始8週後、P=0.0033)。LDLサンプルが存在した限られたサブセットの中では、LDL変化は同じような推移を示した(治療開始8週後−17.6%、P=0.0076)。有害事象は、浮腫が15.0%、尿路感染症が11.2%、悪心が9.3%、嘔吐が8.4%、高血圧も8.4%で認めたが、ESAsに関して報告されていた割合より低かった。全体として、FG-4592は忍容性が良好で、薬剤が関係した重度の有害事象はなかった。

 これらの結果からRoberts氏らは、CKDを合併した糖尿病患者において、FG-4592はベースラインでの鉄の状態に関わらず、また鉄の静注補給なしでもヘモグロビン値を適正化し、それを維持する、と結論。また、心血管リスクマーカーに対しても好ましい影響が観察されたとした。その上で、「今回のデータは、CKDの腎性貧血治療において、FG-4592がより安全で簡便な治療法を提供する薬理学的、臨床プロファイルを持っていることを示している」とまとめた。また、今回の結果を受けて「現在、世界規模の第3相試験が進行中である」と言及した。