米国MSD社のBarry J. Goldstein氏

 重度の慢性腎機能障害を伴う2型糖尿病患者において、シタグリプチンの血糖低下作用はSU薬グリピジドと同等であり、一方で低血糖や体重増加のリスクは低いことが明らかになった。米国MSD社のBarry J. Goldstein氏らが無作為化比較試験の結果として、12月4日から8日までドバイで開催された世界糖尿病会議(WDC2011)で報告した。

 対象は30歳以上の2型糖尿病患者で、HbA1c値が7%以上9%以下、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/1.73m2未満の73人で、透析患者は除外した。2週間の観察期を経て、シタグリプチン25mg/日投与群(37人)とグリピジド群(36人)に無作為に割り付け、54週まで追跡した。グリピジドは2.5mg/日で投与開始し、最大用量を10mg×2回/日とし、血糖値に応じて適宜増減した。

 主要評価項目は登録時からのHbA1c値の変化量、試験デザインはグリピジドに対するシタグリプチンの非劣性試験とし、非劣性マージンはHbA1cの差の上限を0.4%とした。

 シタグリプチン群とグリピジド群の患者背景は、それぞれ年齢が64.2歳と64.3歳、アジア人の割合が59.5%と66.7%、白人の割合が24.3%と25.0%、心血管疾患の既往が21.6%と25.0%、糖尿病罹病期間が12.3年と11.5年、HbA1cが7.7%と7.7%、空腹時血糖値が151.2mg/dLと138.6mg/dLなどで、特筆すべき差は認めなかった。

 試験の結果、HbA1c値は両群で低下し、登録時に対する54週後のHbA1c値の変化量(最小二乗平均)は、シタグリプチン群が−0.81%、グリピジド群が−0.65%、群間差は−0.17%(95%信頼区間:−0.51〜0.17%)で、非劣性条件を満たした。

 低血糖など有害事象の発現については、インスリンによるレスキュー治療後の事象は除外して解析した。その結果、症候性低血糖はシタグリプチン群の4例(6.6%)、グリピジド群の11例(19.0%)で発現し、発現率はシタグリプチン群の方が有意に低かった(P=0.042)。また、低血糖エピソードは、それぞれ1例(1.6%)、13例(22.4%)で発現した。消化器症状はシタグリプチン群では腹痛が1例、下痢が3例、グリピジド群では腹痛が1例、下痢が3例、嘔気が2例で発現した。

 体重は追跡期間中、シタグリプチン群では1.5kg低下、グリピジド群では1.0kg増加し、群間差は−2.5kg(95%信頼区間:−4.3〜−0.6kg)と、シタグリプチン群で有意に少なかった。

 以上の検討からGoldstein氏は、「重度慢性腎機能障害を伴う2型糖尿病患者において、シタグリプチンとグリピジドの血糖降下作用は同様で、忍容性はともに良好だったが、シタグリプチンの方が低血糖イベントのリスクが少なく、また体重が減少した」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)