動脈硬化度の指標である脈波伝搬速度(PWV)と食後高トリグリセライド(TG)血症は、いずれも心血管イベントの独立したリスク因子であることが知られている。このほど、2型糖尿病ではこれら2つの因子に関連性があり、食後TG値はPWV上昇の有意な寄与因子であることが示された。韓国Yonsei University College of MedicineのByung-Wan Lee氏らの研究成果で、12月4日から8日にドバイで開催された世界糖尿病会議(WDC2011)で報告された。

 Lee氏らは、2型糖尿病患者ではインスリン感受性の低下、高TG血症などの心血管リスク因子が動脈硬化度を高めるのではないかと考え、一連の研究を行っている。本研究では、食後TG値と上腕-足首PWV(baPWV)の関連性を前向き臨床試験によって検討した。

 対象は2型糖尿病患者97人。重度の肝機能/腎機能障害、甲状腺疾患、妊娠、ステロイド薬の使用中、重度アルコール依存、血液疾患、悪性腫瘍などの患者は除外した。対象患者には液体栄養食品(総カロリー500kcal、脂質17.5g、糖質68.5g、蛋白質17.5g含有)を用いた食事負荷試験を行い、開始時と90分後に採血して、TG値を測定した。

 登録時の患者背景は、平均年齢58.3歳、BMIは25.4kg/m2、糖尿病罹病期間は8.4年、空腹時血糖値は134.3mg/dL、食後血糖値は214.2mg/dL、HbA1c値は7.8%だった。また、baPWVは1615.3cm/sec、空腹時TG値は124.2mg/dL、食後TG値は193.1mg/dLだった。

 TG値とbaPWVとの関連性を調べたところ、空腹時TG値、食後TG値のいずれもbaPWVと弱いが有意な相関が認められた(それぞれR2=0.034、R2=0.015)。

 多変量線形回帰分析を行って、baPWVに対する寄与因子を同定したところ、糖尿病罹病期間、空腹時血糖値、食後血糖値、HbA1c値、空腹時TG値、食後TG値、総コレステロール値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値を組み入れたモデルでは、空腹時と食後TG値だけが有意な寄与因子だった(それぞれP=0.045、P=0.049)。

 また、年齢、性別、BMI、糖尿病罹病期間、HbA1c値、食後TG値、高感度CRPを組み入れたモデルでは、baPWVの有意な寄与因子として、年齢、BMI、食後TG値が同定された(それぞれP<0.001、P=0.001、P=0.022)。

 以上の検討からLee氏は、「本検討では、2型糖尿病患者において食後TG値はbaPWVの上昇に関連することが示された」とし、「2型糖尿病患者で食後のTG値が高いと、なぜ心血管合併症リスクが上昇するのかを理解する上で重要な知見だ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)