イタリアのPisa大学のStefano Del Prato氏

 染色体末端部のテロメアの短縮は細胞老化に関わるとされるが、糖代謝異常との関連も指摘されている。そこで、1型と2型糖尿病患者および非糖尿病患者について、テロメア長やテロメラーゼ活性を調べたところ、2型糖尿病患者におけるテロメアの短縮が顕著であることが示唆された。12月4日から8日までドバイで開催されていた世界糖尿病会議(WDC2011)でイタリアのPisa大学のStefano Del Prato氏らが発表した。

 対象は非糖尿病患者28人(ND群、平均年齢:49歳、BMI:24.6、以下同)、1型糖尿病患者19人(T1DM群、47歳、25.5)、2型糖尿病患者19人(T2DM群、54歳、26.7)の3群。これらの対象者のテロメラ長、テロメラーゼ逆転写酵素hTERT、テロメラーゼのRNA構成要素hTERCを測定し、そのほか炎症の指標としてケモカイン受容体CCR2 mRNAの発現、酸化ストレスの指標としてニトロチロシン濃度についても評価した。

 その結果、テロメラ長はND群(0.153)と比較してT2DM群(0.04、P<0.001)で有意に短かったが、T1DM群(0.189)については有意な差は見られなかった。

 またhTERTの発現はT1DM群とT2DM群でいずれもND群よりも有意に高く、一方hTERCはT1DM群およびT2DM群でともにND群よりも低かった(いずれもP<0.05)。テロメラーゼ活性で標準化後のテロメア長は、ND群(248.9)に比べてT1DM群(51.35)、T2DM群(8.08)で有意に短く(いずれもP<0.01)、特にT2DM群が最も短かった。

 テロメア長と年齢や血清コレステロールなどのさまざまな要因との関連を調べたところ、ND群ではテロメア長と年齢が逆相関を示した。

 一方T2DM群では、年齢、HbA1c、総コレステロール、LDLコレステロールがテロメア長と逆相関を示し、HDLコレステロールとテロメア長は正の相関を示した。 

 CCR2の発現は、ND群に比べT1DM群とT2DM群で有意に高く(P<0.001)、テロメア長と逆相関を示した(P=0.039)。

 ニトロチロシン濃度はND群(0.31)に比べてT1DM群(0.52)とT2DM群(0.76)で有意に高かった(P<0.05)。ニトロチロシン濃度は、テロメア長と逆の相関を示し(P<0.038)、CCR2とは正の相関を示した(P<0.041)。

 Prato氏は、「今回の研究では、テロメア長やテロメア活性の障害と糖尿病患者との関連を示唆する結果が得られた。テロメアの短縮は2型糖尿病患者でより顕著であり、炎症や酸化ストレスなどがテロメアの短縮に関与している可能性が示された」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)