東北労災病院勤労者予防医療センターの宗像正徳氏

 一般住民を対象に空腹時血糖値尿中アルブミン量の関係を解析した結果から、血糖値が上昇するに従って微量アルブミン尿の割合は顕著に増加するものの、正常高値アルブミン尿は血糖値の上昇とそれほど相関しないことが示された。12月8日までドバイで開催された世界糖尿病会議(WDC2011)で、東北労災病院勤労者予防医療センター宗像正徳氏が発表した。

 近年の研究で、一般住民において、微量アルブミン尿だけでなく、正常高値アルブミン尿も心血管疾患発症のリスク因子である可能性が示唆されている。正常高値アルブミン尿とは15〜30mg/gクレアチニンと定義される。

 しかし、現状では、空腹時血糖値など糖代謝異常と微量アルブミン尿あるいは正常高値アルブミン尿との関連は明確ではない。そこで宗像氏らは、一般住民を対象とした亘理町研究で、血糖値と微量アルブミン尿あるいは正常高値アルブミン尿との関連を検討した。

 対象は、亘理町研究の登録者のうち、薬物治療などを受けておらず、尿アルブミン量が300mg/gクレアチニン未満の2133人。平均61歳(範囲:29〜84)で、男性比率が40%だった。

 微量アルブミン尿は尿アルブミン量が30〜300mg/gクレアチニン、正常高値アルブミン尿は15〜30mg/gクレアチンと定義した。

 微量アルブミン尿は118人(5.5%)に見られた。正常アルブミン尿例(正常高値アルブミン尿例も含む)と比べて微量アルブミン尿例では高齢(61.6歳 対 58.4歳)で男性(50% 対 36.9%)、メタボリックシンドローム(33.0% 対 14.8%)が多く、血圧(137.1/79.7mmHg 対 124.6/71.9mmHg)、中性脂肪(140.4mg/dL 対 102.4mg/dL)、空腹時血糖値(96.1mg/dL 対 90.2mg/dL)が有意に高かった。

 また、正常アルブミン尿例について、尿アルブミン量が15mg/gクレアチニン未満の例と正常高値アルブミン尿例(162人)について比較した結果、正常高値アルブミン尿例は高齢で(62.6歳 対 58.1歳)で、メタボリックシンドローム例が多く(28.4% 対 13.6%)、血圧(134.5/77.0mmHg 対 123.8/71.5mmHg)、中性脂肪(117.7mg/dL 対 101.0mg/dL)、空腹時血糖値(97.7mg/dL 対 89.5mg/dL)が有意に高かった。

 収縮期血圧、年齢、性、BMI、中性脂肪値などで調整後の多変量解析の結果、微量アルブミン尿に対する各血糖値のオッズ比は、正常高値血糖値(100-109mg/dL)で1.554(95%信頼区間: 0.758-3.120)、耐糖能異常(110-125mg/dL)で4.557(同:1.874-11.738)、糖尿病相当(126mg/dL以上)で8.083(同:1.565-45.960)だった。

 一方、正常高値アルブミン尿に対する血糖値のオッズ比は、正常高値血糖値(100-109mg/dL)で1.385(95%信頼区間:0.790-2.300)、耐糖能異常(110-125mg/dL)で2.029(同:0.885-11.4200)、糖尿病相当(126mg/dL以上)で3.390(同:1.340-7.820)だった。

 これらの結果から宗像氏は、「検討を開始する前は、血糖値の上昇に対して正常高値アルブミン尿の方がより鋭敏に反応すると仮定していた。しかし、本検討から、血糖値の上昇に対して正常高値アルブミン尿はあまり反応していなかった。健康診断などでは正常高値アルブミン尿よりもやはり微量アルブミン尿に注意すべきであることが確認されたと言える」と締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)