ドイツGWT-TUD臨床研究センターのAnnett Stahn氏

 心血管疾患(CVD:cardiovascular disease)を合併した2型糖尿病患者は、無症候性の低血糖不整脈のハイリスク群であることが明らかになった。少数例を対象に血糖値と心電図を連続測定した研究で、4割超の患者で3連発の心室性期外収縮が発生しており、70mg/dL未満の低血糖エピソードが平均3回起きていたが、不整脈の全てと低血糖の8割は無症候性だった。ドイツGWT-TUD臨床研究センターのAnnett Stahn氏らの研究成果で、12月4日から8日までドバイで開催されていた世界糖尿病会議(WDC2011)で報告された。

 本研究の対象は、2型糖尿病と心血管疾患を合併し、HbA1c値が9.0%未満でインスリンまたはSU薬を使用中の23人とされた。対象患者は、持続血糖モニタリングシステム(CGMS:continuous glucose monitoring system)と長時間心電計を装着し、5日間にわたって血糖値と心電図を連続的に測定した。症候性の低血糖と不整脈の発生は、事前に規定したプロトコールに則って判定した。

 23人の背景は、平均年齢が68.9歳、BMI(平均値、以下同)が31.6kg/m2、収縮期/拡張期血圧が150.1/78.5mmHg、HbA1cが7.2%、空腹時血糖値が178.2mg/dL。CVD合併症の内訳は、高血圧が21人、脂質異常症が22人、冠動脈疾患が16人、冠動脈疾患および脳卒中/末梢動脈疾患が2人、脳卒中が1人、末梢動脈疾患が1人、脳血管疾患3人だった。

 糖尿病治療薬の使用は、インスリンのみが15人、SU薬のみが4人、両薬の併用が4人で、他に21人が降圧薬を、また17人がβ遮断薬を投与されていた。

 試験の結果、血糖値70.2mg/dL未満の低血糖が計69件発現した。CGMSによる平均血糖値は149.6mg/dL、最小値は58.0mg/dL、最大値は291.4mg/dLであった。

 70.2mg/dL未満の低血糖の持続時間は180分、うち55.8mg/dLを切る重篤な低血糖の持続時間は46.3分だった。低血糖が30分間を超えて持続したエピソードは35件で、そのうち夜間の発生が約3分の2の24件を占めた。また、軽度症候性の低血糖は約20%(14件)、重篤なものが1件で、8割の低血糖エピソードが無症候性だった。

 一方、不整脈は全て無症候性だったが、心電図所見からは、試験期間中、全例に心室性期外収縮が発生していた。心室性期外収縮の2連発は61%(14人)、3連発が43.5%(10人)に、また、22%(5人)には最大で9連発の心室性頻脈を認めた。

 Stahn氏はこれらの検討から、「心血管疾患を合併した2型糖尿病患者は、無症候性低血糖や無症候性不整脈のハイリスク群だ」と結論し、「血糖低下療法を行う際、過度の血糖変動を回避することは、心血管疾患を合併している患者の不整脈を予防するために重要だ。CGMSと長時間心電図検査を行うことで血糖日内変動を評価でき、致死性不整脈を予防し得る」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)