DPP-4阻害薬に対する効果には人種差があり、アジア系人種は特に良好である可能性が高いことが、英国Central Middlesex HospitalのK. Shanmuganathan氏らの研究によって明らかになった。研究結果は12月4日から8日まで、ドバイで開催されていた世界糖尿病会議(WDC2011)で報告された。この知見は、インスリン分泌低下型の糖尿病が多い日本人にとっては朗報となりそうだ。

 DPP-4阻害薬は、インスリン分泌を促進するにもかかわらず、体重増加をきたしにくく、膵β細胞を疲弊させにくいとされる。その作用点であるインクレチン産生系には人種差があることが示唆されており、DPP-4阻害薬への効果にも人種差が存在する可能性は高いと考えられていた。そこでShanmuganathan氏らは、DPP-4阻害薬のシタグリプチンによる治療を受けた2型糖尿病患者のデータをレトロスペクティブに解析し、人種と治療効果の関連を検討した。

 対象は、Central Middlesex Hospitalでシタグリプチンによる治療を受けた2型糖尿病患者114人。Middlesex地区は、英国最大規模のアジア人コミュニティがあり、対象患者もアジア系が64人と多数を占めた。また、アフリカ・カリブ系は23人、白人は27人だった。

 登録時の年齢は平均61.5歳、男性の比率は54%、HbA1cは9.2%であり、29.0%の患者がインスリンを使用していた。3つの人種グループ間で、これらの背景因子に有意な偏りは認められなかった。また、糖尿病罹病期間にも有意な差は認められなかった。

 3カ月間のシタグリプチン投与に伴い、患者全体のHbA1c値は平均0.55%低下した。人種グループ別にHbA1cの変化量をみると、アジア系が0.93%低下、アフリカ・カリブ系が0.17%低下、白人が0.56%低下で、各群間に有意な差が認められた(P=0.0054)。

 以上の結果より、DPP-4阻害薬に対する効果には人種差があり、アジア系人種が最も高く、次いで白人、アフリカ・カリブ系人種の順であることが明らかになった。

 Shanmuganathan氏らは、この差はインクレチン産生系の人種差に関連するものではないかと指摘した上で、「こうした情報は、最適な治療戦略を考えるために有用」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)