共同研究者の寺沢智子氏

 起立性低血圧のある2型糖尿病患者では、そうでない患者よりも血清高分子(HMW)アディポネクチン濃度が高いことが分かった。起立性低血圧患者はまた、そうでない患者に比べ、上腕−足首脈波伝播速度(baPWV)も増大していた。これは、獨協医科大学越谷病院麻生好正氏らが行った研究で明らかにしたもので、12月8日までドバイで開催されていた世界糖尿病会議(WDC2011)で、共同研究者の寺沢智子氏が発表した。

 同氏らによると、2型糖尿病患者の起立性低血圧という自律神経障害について、HMWアディポネクチン濃度の上昇が、予測因子であることを示した研究は珍しいという。

 同研究グループは、2型糖尿病患者105人(うち男性50人)について、起立性低血圧の有無と血清高分子アディポネクチン濃度との関連を調べた。また、動脈硬化の指標としてbaPWVも測定した。起立性低血圧の定義としては、起立後3分以内の収縮期血圧20mmHgまたは拡張期血圧10mmHgの低下とした。

 その結果、被験者のうち起立性低血圧が認められたのは、28.6%にあたる30人だった。起立性低血圧群のbaPWV値(平均)は1910cm/sと、非起立性低血圧群の1628cm/sに比べ有意に高値だった(P=0.0032)。

 一方、起立性低血圧群のHMWアディポネクチン濃度(平均)は5.05μg/mlと、非起立性低血圧群の2.95μg/mlに比べ、有意に高かった(P=0.0086)。総アディポネクチン濃度(平均)もまた、起立性低血圧群が9.80μg/mlと、非起立性低血圧の6.10μg/mlに比べ、有意に高かった(P=0.0126)。HMWアディポネクチン濃度の総アディポネクチン濃度に対する割合(平均)もまた、起立性低血圧群が0.58と、非起立性低血圧群の0.49に比べ、有意に高かった(P=0.0068)。

 多変量回帰分析の結果、HDLコレステロール、ヘマトクリット、血漿プロトロンビンF1+2、baPWV、起立時収縮期血圧低下が、HMWアディポネクチン濃度の独立因子だった(補正後R2=0.524)。

 これらの結果から寺沢氏らは、「HMWアディポネクチン濃度は、2型糖尿病患者の起立性低血圧のマーカーだと言える」と結論付けた。

(日経メディカル別冊編集)