米国Eli Lilly社のJuliana H. A. Oliveira氏

 シタグリプチン+メトホルミンで十分な血糖コントロールが得られない場合、エキセナチドへの切り替えよりもシタグリプチンとエキセナチドを併用する方が良好な血糖コントロールが実現する可能性が示された。12月8日までドバイで開催中の世界糖尿病会議(WDC2011)で、米国Eli Lilly社のJuliana H. A. Oliveira氏らが報告した。

 シタグリプチンとエキセナチドはどちらもGLP-1の作用を高めるインクレチン関連薬だ。しかし、DPP-4阻害薬である前者とGLP-1受容体作動薬である後者の作用機序は異なり、体重への影響などにも違いがみられる。

 そこでOliveira氏らは、シタグリプチンだけでは十分な血糖コントロールが得られない患者に対し、シタグリプチンからエキセナチドへの切り替えとシタグリプチン+エキセナチドの併用について、効果と安全性を比較する無作為化二重盲検比較試験を行った。試験デザインは、併用に対する切り替えの非劣性を証明する非劣性試験とされた。

 対象は、シタグリプチン(100mg/日)+メトホルミン(≧1500mg/日)で血糖コントロールが不十分(HbA1c:7.1-9.0%)な2型糖尿病患者255人とした。患者は無作為化のうえ、切り換え群(n=127)と併用群(n=128)に割り付け、前者についてはシタグリプチンをプラセボに変更した上で、両群にエキセナチド(4週まで5μg BID、以後10μg BID)の投与を行った。

 ベースライン時の平均年齢は56±10.8歳(切り換え群) 対56±9.9歳(併用群)、糖尿病罹病期間は同8.0±6.0年 対 8.0±7.0年、HbA1cは7.84±0.61% 対 7.94±0.62%、BMIは30.8±4.8kg/m2 対 31.6±5.8kg/m2であった。

 20週間の治療の結果、HbA1cは両群ともに低下した。しかし、低下量の最小二乗平均値は併用群の方が有意に大きく(0.38% 対 0.68%、P=0.012)、HbA1c<7.0%となった患者の割合も併用群が有意に多かった(26.6% 対 41.7%、P=0.027)。

 また、切り換え群では空腹時血糖値(FSG)がわずかに上昇していたのに対し、併用群では低下していた(0.06mmol/L 対 −0.55mmol/L、P=0.038)。さらに、血糖自己測定(SMBG)によって求めた食後血糖値も、併用群の方が有意に低く抑えられていた(P=0.048)。

 追跡期間内に確認された低血糖の発生は、切り換え群が1件(重症例1件)、併用群が2件(重症例0件)だった。また、有害事象発生率や体重変化については両群に有意な差は認められなかった。

 本検討では、併用群に対する切り換え群の非劣性は証明されなかった。併用群は切り換え群に対し、ベースラインから20週までのHbA1cの減少が有意に大きく、シタグリプチン+メトホルミンでコントロール不十分な2型糖尿病患者にエキセナチドを追加することは、シタグリプチンをエキセナチドに切り換えるより、良好な血糖コントロールをもたらすことが示唆された。

(日経メディカル別冊編集)