ドイツUniversity of Duisburg-EssenのSonali Pechlivanis氏

 一般人を対象としたコホート研究から、乾癬症糖尿病の合併には相関がある一方、乾癬症のある女性ではない女性に比べて心血管疾患危険因子保有率が高いが、男性ではこの違いが見られないことも示された。12月4日から8日までドバイで開催された世界糖尿病会議(WDC2011)で、ドイツUniversity of Duisburg-EssenのSonali Pechlivanis氏が発表した。

 これまで、乾癬症と糖尿病や動脈硬化症との関連が検討されてきたが、その検討はまだ十分に進んでいない。そこでPechlivanis氏らは、一般人を対象としたHeinz Nixdorf Recall Studyのコホートについて、乾癬症と糖尿病や代謝因子との関連を解析した。

 対象は2000年から2003年に登録された4814人(女性2419人)。年齢は40〜75歳で、登録時に疾患歴や血液検査、生活習慣の聞き取りを行った。乾癬症と糖尿病があるかどうかについては、医師の診断あるいはそれぞれの治療薬の服用をしているかどうかを聞き取り調査して判定した。

 本検討におけるメタボリックシンドロームの定義はNCEP ATPIIIに従っており、血糖値100mg/dL以上あるいは糖尿病と診断、腹位102cm以上(男性)、l88cm以上(女性)、中性脂肪150mg/dL以上、HDL-コレステロール値39.8mg/dL以上(男性)、48.6mg/dL以上(女性)、収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧85mmHg以上とし、3項目が該当するとメタボリックシンドロームとした。

 検討の結果、乾癬症が見られたのは全体で3.8%、性別では男性4.2%、女性3.5%だった。また、乾癬症が見られる人で糖尿病を合併している人は乾癬症がない人における合併率より高く、女性では乾癬症が見られる人の12.9%(乾癬症がない場合は6.5%)、男性では乾癬症が見られる人の16.0%(乾癬症がない場合は9.5%)で糖尿病を合併していた。

 女性においては、乾癬症が見られる人は見られない人に比べて、腹位が基準値以上の人が62%(対47%)、中性脂肪が基準値以上の人が26%(対17%)、禁煙者が33%(対23%)、メタボリックシンドロームが38%(対26%)と、心血管疾患危険因子保有率が高かった。

 男性においては、女性で見られた乾癬症の有無による心血管危険因子の違いは見られず、乾癬症がある人の方がむしろメタボリックシンドロームの割合は31%と乾癬症がない人の40%に比べて低かった。

 一方、男性、女性ともに、血圧や無症候性動脈硬化(冠動脈の石灰化で評価)と乾癬症の有無とは関係が認められなかった。

 多変量解析の結果、年齢、喫煙歴、血圧、脂質、腹位などで調整した、乾癬症がある人の糖尿病合併のオッズ比は、女性で2.20(95%信頼区間:1.05-4.62)、男性で2.27(95%信頼区間:1/25-4.12)だった。

 こうした結果からPechlivanis氏らは、これまでの検討は性で分けて検討していないために関連がはっきりと見いだせなかった可能性があると指摘。乾癬症と糖尿病の合併には確かに関係があるが、心血管危険因子の点からは性差があるとし、今後は性によって分けて詳細に検討を進めていく必要があると考察した。

(日経メディカル別冊編集)