韓国Sungkyunkwan大学のMi Hae Seo氏

 非糖尿病者のアポリポプロテインB/A1比は、将来の2型糖尿病の発症と関連していることが示された。12月4日から8日までドバイで開催された世界糖尿病会議(WDC2011)で、韓国Sungkyunkwan大学のMi Hae Seo氏が発表した。

 近年の研究で、アポリポプロテインB/A1比は心血管疾患発症リスクの予測因子であることが見いだされてきた。また、血中あるいは膵島のコレステロール値は膵島の機能障害やインスリン分泌障害につながる可能性が示唆されている。そこでSeo氏らは、非糖尿病患者における2型糖尿病発症とアポリポプロテインB/A1比の関連を解析した。

 対象は、登録時に糖尿病でなかった男性3918人、女性1659人の計5577人で、2005〜2009年の5年間、1年ごとに健康診断を行ってきた。こうした一般人の健康診断項目で、総コレステロール、中性脂肪、アポリポプロテインB、アポリポプロテインA1、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールを用いて解析した。

 対象者を登録時のアポリポプロテインB/A1比を3分位に分け、多因子で調整後の、2型糖尿病発症に対するアポリポプロテインB/A1比およびLDL-コレステロール値のオッズ比を評価した。アポリポプロテインB/A1が最も低い0.61以下を低位群、0.62以上0.78以下を中位群、0.79以上を高位群とした。糖尿病の発症は、空腹時血糖値が126mg/dL以上またはHbA1cが6.5%以上とした。

 5577人全体の登録時の背景は、年齢44.5歳、喫煙者22.9%、BMIは23.8kg/m2だった。収縮期血圧113.2mmHg、拡張期血圧75.3mmHgで、HbA1cは5.4%、空腹時血糖値は95.0mg/dL、空腹時インスリン値は8.5IU/mL、総コレステロール値は193.7mg/dL、LDL-C値112.8mg/dL、HDL-C値51.2mg/dL、中性脂肪値134.7mg/dL、アポリポプロテインBは97.0mg/dL、アポリポプロテインA1は140.7mg/dL、アポリポプロテインB/A1比は0.71だった。後に糖尿病を発症した330人は、登録時のデータにおいて、非発症者と比べて有意に各指標は悪かった。

 4年間で330人(5.9%)が2型糖尿病を発症した。低位群の糖尿病発症率が3.2%だったのに対し、中位群では5.9%、高位群では8.6%と上昇していた。

 年齢、性、BMI、喫煙歴、高血圧、空腹時血糖値、空腹時インスリン値で調整した後の糖尿病発症に関するオッズ比は、低位群を1としたとき、中位群は1.164倍、高位群は1.581倍だった。

 アポリポプロテインB/A1比のオッズ比は、LDL-コレステロール値(100mg/dL以上)のオッズ比に比べて有意に高いという結果だった。

 Seo氏は、本検討において、脂質異常症の治療歴についてデータがなく、解析に含まれていないこと、対象が韓国の都市部の住民を対象としている点を研究の限界と指摘した。その上で、Seo氏は、非糖尿病患者において、アポリポプロテインB/A1比高値は将来の2型糖尿病発症と有意に関連していると考えられると締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)