ハンガリーSemmelweis大学のB.Szeman氏

 糖尿病認知機能との関連が指摘されるなか、Stroop-testとWCSTの2つの神経心理学テストを用いて1型糖尿病患者群の認知力を調べたところ、健常者コントロール群と比較して認知力が有意に低いというデータが示された。12月4日からドバイで開催中の世界糖尿病会議(WDC2011)で、ハンガリーSemmelweis大学のB.Szeman氏らが発表した。

 平均年齢35.62±11.65の比較的若い1型糖尿病患者50人(平均糖尿病歴14.45年)と、年齢、性別、BMIをマッチさせた健常コントロール群64人についてStroop-testおよびWCSTを用いて認知力を調べた。

 Stroop-testは、海馬や脳の後方領域と関連する実行機能を評価するテスト。色を示す文字(青、黄色、赤など)が様々な色で書かれて並んでおり、それぞれの言葉が何色かを答える。青という文字が黄色で描かれていれば黄色と答える。今回は、文字とその色が同じ場合(congruent 試験)と、異なる場合(incongruent試験)の2パターンについてリアクション時間を調べた。

 WCSTも主に前頭葉領域の実行機能を調べるテストで、エラーの総数、保持的エラー数で脳の柔軟性を評価した。

 Stroop-testの結果では、congruent試験(DM群 対 健常コントロール群:828.69ミリ秒 対 661.44ミリ秒、以下同)、incongruent試験(941.58ミリ秒 対 725.38ミリ秒)、congruent試験とincongruent試験との差であるStroop effect Reaction time(SERT)は112.8ミリ秒 対 64.53ミリ秒で、3つのリアクションタイムはいずれも、健常コントロール群と比較して1型糖尿病患者群で有意に長かった(いずれもP<0.01)。

 また、HbA1cが高いほどSERTが長く、両者は有意な相関を示した(P=0.028)。また糖尿病罹患年数とWCSTの正解率は負の相関を示した(P=0.022)。

 Szeman氏は、「1型糖尿病患者は、脳の様々な領域において実行機能や情報処理スピードが健常人よりも低下していることが示された。またHbA1cレベルとSERTの相関が見られたことから、慢性的に血糖コントロール不良の場合は、選択的注意力などの低下が進行する可能性も考えられる」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)