Imperial College LondonのNader Lessan氏

 断食月中でもSU薬で治療している糖尿病患者は断食月中、血糖コントロールが全般的に悪くなる傾向にあり、SU薬以外で治療されている患者と比較して日没後の食事による食後血糖値の上昇がより高い傾向にあることが、持続血糖モニター(CGM)を使った解析から示された。アラブ首長国連邦にあるImperial College LondonのNader Lessan氏が、12月4日にドバイで開幕した世界糖尿病会議(WDC2011)で発表した。

 イスラム教徒は断食月(ラマダン)には1カ月間、日が昇っている間は断食を行う。ただし、1カ月間完全な断食を行うわけではなく、日が暮れた後、翌日の日が昇るまでに食事をとる。こうした特徴的な食生活と血糖値の推移を解析するため、Lessan氏は、SU薬および非SU薬を服用している糖尿病患者について、持続的血糖モニター(CGM)を用いてラマダン中の血糖の推移を評価した。

 対象は2型糖尿病患者で、インスリン治療を受けている患者は除外した。非SU薬で治療を受けている患者11人、SU薬(および他の経口血糖降下薬)で治療を受けている患者4人、健康なボランティア3人について、ラマダン前とラマダン中の3日間を2回、CGMによる血糖モニターを行った。断食月中の糖尿病治療については、主治医の判断によって用量、投与時間は変更した。

 追跡の結果、ラマダン前の血糖値の推移は、SU薬群と非SU薬群の間で大きな差は見られなかった。一方、ラマダン中では、すべての患者で日没直前まで120〜130mg/dLとなり、その後、健康なボランティアは日没後に食事をしてもほとんど食後血糖値は上昇しなかったが、非SU薬群では食事により食後血糖値がおよそ70〜80mg/dL上昇し、SU薬群ではさらに変動が大きく、食後血糖値がおよそ120〜130mg/dL以上上昇していた。

 High Blood Glucose Index(HBGI)は、CGM中に高血糖と判断された頻度と程度により算出する数値で、高ければ高いほど高血糖状態になる頻度と高血糖の程度が大きいという指標だ。このHBGIを用いて、ラマダン中の患者の解析を行った結果、SU薬群で3.89±3.387、非SU薬群で2.81±2.34と、SU薬群で有意に高くなっていた。ラマダン前では、SU薬群は2.79±1.44、非SU薬群で1.47±0.89だった。

 こうした結果から、Lessan氏らは、「ラマダン中はSU薬を避ける傾向にはあるが、ラマダン中でもSU薬による治療を受けている患者では血糖値コントロールは悪くなる傾向にあり、SU薬で治療されていない患者と比べてより顕著だった。ラマダン中の日没後の食事が急激な血糖値上昇に関与しており、我々は独自に治療戦略を検討する必要がある」と語った。

(日経メディカル別冊編集)