胃食道逆流症GERD)による胸焼けなどの不快な症状は、食後に増悪することが知られている。このため、ゆっくり食事をすれば、不快な症状を軽減できるのではないかと考えられていた。ところが、実際には“早食い”の方がGERDの症状が軽いという意外な結果が明らかになった。トルコ共和国エゲ大学のElen Valitova氏が10月30日、第15回欧州消化器病学会で発表した。

 対象は、GERD症状を訴える患者36人(男性14人、女性22人、平均年齢40.8歳)。まず食道内24時間pH測定を行ったところ、食道内pH値が4以下の病的レベルにあったのは15人で、21人は正常域だった。pH測定用プローブの挿入から1時間後、全員に5分で食事をしてもらい、別の日には同じ内容の食事を30分かけてとってもらった。食後3時間まで1時間ごとにpH値の変化を計測し、逆流症状の程度を調べた。

 その結果、pHが正常域の21人では、食後3時間の時点で、30分で食事した群が5分で食事した群よりも逆流の程度が重く、有意差がみられた(p<0.05)。食後1時間および2時間では、特に食事の摂取時間による差はなかった。一方、pH値が病的レベルにあった15人では、食後1時間、2時間、3時間と常に30分で食事した群が5分で食事した群よりも逆流の程度が重く、食後1時間および3時間では有意差がみられた(p=0.03)。

 さらに、全員に胸焼けや胸痛など、GERDの自覚症状について尋ねたところ、30分で食事した群が5分で食事した群よりもより多くの症状を訴えた(p=0.11)。特に、pH値が病的レベルにあった15人では、顕著な差がみられた(p=0.04)。

 フロアからは「非常に興味深い結果だ」と複数の賛辞が寄せられた。Elen Valitova氏は、「ゆっくりとした食事がなぜGERD症状に悪影響を及ぼすのか、詳しいメカニズムはまだ分からない。今後も研究を続けたい」と意欲を示した。