胃癌予防に、胃炎や胃潰瘍の治療薬が有効かもしれない。このような意外な研究結果が10月30日、第15回欧州消化器病学会のポスターセッションで和歌山県立医科大学消化器内科准教授の岡政志氏から報告された。

 岡氏らは、高率に突然変異を誘発するN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)による胃の発癌過程で、間葉系組織に浸透し、発癌抑制に働く樹状細胞に注目した。その上で、粘膜保護および抗炎症作用を持つレバミピドが、腫瘍免疫系にも何らかの作用を持つのではないかと考え、MNNGによる発癌過程における樹状細胞の浸透に対するレバミピドの作用についてラットを用いて研究した。

 その結果、レバミピドを加えることによって粘膜細胞数が増加し、間葉系組織内へもより多くの樹状細胞が浸透することが明らかになった。一方、人の胃癌では、S-100蛋白陽性腫瘍細胞の浸透が多い方が生存率の延長につながるとの報告がある。これを踏まえ岡氏は、「レバミピドが、粘膜細胞の増殖だけではなく、樹状細胞の浸透促進にも作用していることが分かった。人でも同様の作用がもし確認できれば、レバミピドに、間接的に発癌を抑制する効果があると言える可能性も出てくる」と期待を寄せた。