名古屋大消化器内科講師の丹羽康正氏

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって生じる小腸潰瘍は、レバミピドの投与によって予防できる可能性が示された。日本で行われた二重盲検試験で明らかになったもので、名古屋大消化器内科講師の丹羽康正氏(写真)が10月30日、第15回欧州消化器病学会の一般口演で発表した。

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の投与が有用な胃や十二指腸の潰瘍と比べ、小腸潰瘍は、近年のカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の登場まで病変の存在自体が明らかでなかったこともあり、まだ決め手となる治療薬は無い。丹羽氏らは、レバミピドが潰瘍性大腸炎の所見を改善したとの報告に注目、健康なボランティアを対象にパイロットスタディを行った。レバミピドは、世界9カ国で発売されている胃炎・胃潰瘍の治療薬。

 参加の同意が得られた10人(平均年齢27.3歳)を、NSAIDsのジクロフェナクナトリウム、オメプラゾール、さらにレバミピドもしくはプラセボを投与する群に無作為割り付けした。7日間の投薬後、4週間の期間を置いてから、レバミピド群にはプラセボ、プラセボ群にはレバミピドを7日間投与した。計6週間の試験期間の前後で血液検査を行い、薬剤の投与の前後で計4回のカプセル内視鏡検査を行って、小腸の状態を調べた。

 その結果、小腸に潰瘍や出血、発赤など何らかの病変所見があったのはレバミピド群2件に対し、プラセボ群8件と、有意にレバミピド群で少なかった(p=0.023)。カプセル内視鏡の読影は2人の医師が行い、所見の一致した割合は約9割だった。

 丹羽氏は、「7日間の投与でも、NSAIDsによって小腸に多彩な病変が観察された。レバミピド群ではプラセボ群のような潰瘍や出血といった重い病変は見つからず、小腸潰瘍の予防効果は高いと考えられた」と話した。