糖尿病性腎症などで透析を受けている患者の胃粘膜に高頻度にみられる血管性病変では、その発生に酸化ストレスが重要な役割を果たしていることが分かった。防衛医科大学第二内科助教授の伊藤和郎氏が10月30日、第15回欧州消化器病学会のポスターセッションで報告した。

 透析患者では、血液中のAdvanced Glycation End-products(AGE)濃度が高いことが知られている。AGEは、タンパク質の糖付加反応の最終産物で、アテローム性動脈硬化を促進するなどの作用がある。そこで伊藤氏らは、胃粘膜にAGEが及ぼす作用を検討した。

 20人の透析患者(うち糖尿病患者5人)から胃粘膜の組織生検を行った。腎疾患ではなく透析を受けていない9人を対照群として、複数の抗体による免疫組織化学反応を比較した。AGEは、透析患者で明らかな増加がみられ(p<0.05)、酸化ストレスマーカーである8-ハイドロキシ-2'-デオキシグアノシンの発現も、透析患者で有意に高くなっていた(p<0.05)。一方、ヘリコバクター・ピロリ感染は、非透析群の方が透析群より多い傾向がみられた。

 このことから伊藤氏は、透析患者ではヘリコバクター・ピロリ感染ではなく、酸化ストレスによって胃内組織の過酸化が進み、胃に血管性病変を引き起こすと予想、「既に胃粘膜上皮細胞にAGE受容体(RAGE)を見つけており、これを介して胃粘膜に存在する個々の細胞にAGEがどのように作用するか、研究を続けていきたい」と話している。