10月30日に行われたUEGWプレスカンファレンスで、アムステルダム自由大学メディカルセンター教授のChris Mulder氏は「最近の推計値では、欧州には約250万人のセリアック病患者がいる。従来はもっと少ないと考えられていたため、直接患者に接する機会の多い家庭医を始め、社会的にも認識を改めてもらう必要がある」と強調した。

 セリアック病は、食品中のグルテンに対する過敏症により小腸の粘膜が慢性の炎症を起こす疾患で、重症化すると小腸の絨毛が変性してしまい、消化機能が衰えるか失われる場合もある。典型的な症状は、食欲不振、慢性の下痢、頻回の嘔吐、体重減少などだ。

 数年前までは、セリアック病や食品不耐症は主として小児の疾患と考えられていた。乳児の低体重や成長障害から診断が付く場合が多かったためである。しかし、最近ではセリアック病は、アレルギーと自己免疫疾患の組み合わさったものと考えられており、成人になってから発症する場合があることが分かった。「現在ではセリアック病の新規発症例の60%が成人であり、60歳を超えてから発症する例も15〜20%ある」とMulder氏はいう。

 成人のセリアック病が気付かれにくいのは、症状が非特異的で、患者にはしばしば胃の不調、鉄欠乏症、うつ病、骨粗鬆症なども同時に存在するためだ。そのため、最終的にセリアック病と診断が付くまでに非常に多くの時間を要していた。

 こうした状況に変化が起こったのは、血清抗体検査が改良されて使いやすくなったためだとMulder氏は説明する。ただし、炎症を起こしていても抗体価が上がらない偽陰性があることも分かっている。セリアック病が疑われた場合は、内視鏡による粘膜生検で診断を確定する。

 「欧州と米国で集団検診を受けた人のデータから、住民の150人に1人の割合でセリアック病患者がいるとする信頼できるデータが報告された」とMulder氏は語る。これが欧州全体で250万人の患者がいるという推計の基になっている。

 最近ではグルテン除去食も増えてきており、適切な食事指導を受ければ、患者のQOLは大きく改善するはずだ。「今後は、誰がハイリスクグループでスクリーニングの受診を勧告するか、スクリーニングは何年おきに受けるべきかなどを決めていくのが、学会の重要な使命の1つになる」とMulder氏は話した。