機能性胃腸症の症状の改善に、抗不安薬のクエン酸タンドスピロンの投与が有効であることが、日本で行われた二重盲検多施設比較試験で示された。兵庫医科大学内科学教授の三輪洋人氏が10月29日、第15回欧州消化器病学会の一般口演で発表した。

 機能性胃腸症の病態には、さまざまな因子が関与していると言われているが、未だ決め手といえる治療法はなく、プラセボ効果が大きいことから心理的な因子も重要な役割を果たしているとされている。これを受けて三輪氏らは、抗不安薬として使われているセロトニン5HT1A作動薬のクエン酸タンドスピロンに注目、同薬剤の機能性胃腸症患者に対する効果を、二重盲検多施設比較試験で検討した。

 対象は、参加6施設の外来を受診し、診断された機能性胃腸症患者150人。タンドスピロン群とプラセボ群に無作為割付し、10mgを1日3回投与した。1週ごとに4週間、8項目の症状スコアを自己採点してもらい、4週間後に症状スコアが0または1となり、治癒した患者の割合を統計学的に比較した。

 脱落例を除いた136人(タンドスピロン群69人、プラセボ群67人)が解析対象となった。両群の患者背景に差はなかった。4週間後に治癒した患者の割合は、タンドスピロン群31.3%、プラセボ群14.3%で、有意にタンドスピロン群で治癒した患者が多かった(p<0.05)。

 また、症状スコアの変化を治療前後で比較したところ、タンドスピロン群では、上腹部不快感とげっぷで有意な差がみられた。有害事象は、タンドスピロン群8人、プラセボ群18人で、いずれも軽度だった。三輪氏は、「タンドスピロンは機能性胃腸症の治療薬の一つとなり得る」と強調した。