胃炎・胃潰瘍の治療薬、レバミピドが腸の粘膜傷害をも改善する可能性があることが明らかになった。慶應義塾大学病院内視鏡センターの緒方晴彦氏が10月29日、第15回欧州消化器病学会の一般口演で発表した。

 レバミピドは、胃粘膜傷害を抑制する作用や、胃粘膜を保護する作用があることが知られている。緒方氏らは培養細胞株を用いて、レバミピドが腸の上皮細胞に果たす役割について検討した。まず、レバミピドの安全性を確かめるために、潰瘍性大腸炎患者19人にメサラジンもしくはレバミピドを無作為割付し、4週間投与したところ、特に効果に差はみられなかった。

 そこで、培養細胞株にレバミピドを加えたり、酸化ストレスをさらに加えて培養したところ、レバミピドが、酸化ストレスによって失われたタンパク質の結合を明らかに回復させたり、酸化ストレスによって誘導される上皮細胞の傷害を有意に防ぐ効果があることが確認された(p<0.001)。こうした作用は、重要な結合タンパク質の増殖を促進する直接的な作用であることも分かった。

 腸の上皮細胞は通常、細菌など異物の侵入を防ぐため、結合タンパク質の複合体を作り、強固に結びついている。この結合が崩壊することが、炎症性腸疾患を引き起こす重要な因子ではないかとされている。緒方氏は、「酸化ストレスによって生じる腸の粘膜傷害を、レバミピドは直接的な作用によって改善し、上皮細胞を再生できた」と結論した。