HER2陽性進行胃癌に対するペルツズマブ、トラスツズマブ、化学療法の併用において、ペルツズマブを負荷投与量840mg、維持量420mgで投与するレジメン(840/420mg)と全サイクルを通して840mgで投与するレジメン(840/840mg)は、いずれも安全性、薬物動態(PK)の主要評価項目を達成したことが、多施設共同、フェーズ2aのJOSHUA試験から示された。続くフェーズ3のJACOB試験では、有効性の点から840mgで投与するレジメンが採用される。7月3日から6日までスペイン・バルセロナで開催された第15回世界消化器癌学会(WCGC2013) で、韓国Asan Medical CenterのYoon-Koo Kang氏が報告した。

 HER2陽性で進行性の胃癌または食道胃接合部癌では、化学療法にトラスツズマブを追加することで全生存期間(OS)が改善したことがToGA試験から報告された。また、HER2陽性で転移を有する乳癌のファーストライン治療として、ペルツズマブ、トラスツズマブ、ドセタキセルの併用は、トラスツマブとドセタキセルの併用と比べて無増悪生存期間(PFS)とOSを有意に改善したことがCLEOPATRA試験から示された。

 したがって、ペルツズマブ、トラスツズマブ、化学療法の併用により、HER2陽性進行胃癌の生存を改善する可能性があると考えられる。ただし、乳癌の患者ではペルツズマブは840mg/420mgで投与されるが、トラスツズマブで観察されたように、ペルツズマブも乳癌と胃癌でPKが異なる可能性がある。

 JOSHUA試験の対象は、HER2陽性でファーストライン治療で進行した胃癌、食道胃接合部癌の患者で、次の2群に1対1でランダムに割り付けた。A群:化学療法(カぺシタビン+シスプラチン)、トラスツズマブ、ペルツズマブ(1サイクル目は840mg、2-6サイクル目は420mg)を併用。B群:化学療法、トラスツズマブ、ペルツズマブ(すべてのサイクルで840mg)を併用。進行(PD)または管理不能な毒性の発現がなければ、カぺシタビンは6サイクル目以降も試験担当医の判断で継続投与することとした。

 同試験の主要評価項目は、43日目のペルツズマブのトラフ濃度を推定し、患者の90%以上に20μg/mL以上の定常状態をもたらす用量を同定することと、安全性だった。この結果に基づき、フェーズ3試験の用量が選択されることとなった。

 30人が登録され、A群15人(年齢中央値67歳、男性93.3%)、B群15人(同59歳、66.7%)となった。アジア人はそれぞれ60.0%と53.3%だった。

 ペルツズマブの投与を6サイクル完了したのは、A群6人、B群5人で、それぞれ14人と12人が現在も治療中である。計4人が治療を中止し、A群の1人はPD、B群の3人は有害事象(2人)、死亡(1人)による中止だった。全対象が試験治療を2サイクル完了した後、データカットオフ日を2012年5月28日とした。

 グレード3以上の有害事象として、A群で56、B群で59の事象が発現した。重篤な有害事象は、A群25、B群13だった。グレード3以上の有害事象が1つ以上発現した患者は、A群14人(93.3%)、B群12人(80.0%)だった。A群とB群において、頻度が高かった有害事象は、好中球減少(それぞれ53.3%、26.7%)、下痢(33.3%、26.7%)、貧血(20.0%、20.0%)、食欲低下(6.7%、33.3%)、疲労感(20.0%、13.3%)、発熱性好中球減少(13.3%、13.3%)、低ナトリウム血症(26.7%、0%)などだった。

 多く観察された有害事象の1つ、下痢は治療サイクルの早期に発生し、その後のサイクルでは頻度は低下し、特に化学療法終了時にはほぼ消失していた。

 ペルツズマブは840/420mgと840/840mgのいずれのレジメンにおいても、90%以上の患者で43日目のトラフ濃度が20μg/mL以上となった。

 ただし、胃癌では840/420mgのレジメンは、CLEOPATRA試験の840/420mgのレジメンよりも、43日目のトラフ濃度が37%低かった。一方、胃癌の840/840mgのレジメンの43日目のトラフ濃度は、CLEOPATRA試験の840/420mgのレジメンと同等だった。

 JOSHUA試験のPKと安全性の結果に基づき、フェーズ3のJACOB試験のペルツズマブの用量は840/840mgが選択されることとなった。JACOB試験では、ファーストライン治療で進行した転移を有するHER2陽性胃癌に対し、ペルツズマブ、トラスツズマブ、化学療法の併用が検討される。