T3で中等度リスクとされる直腸癌に対する術前補助療法として、CAPOX-B(カぺシタビン、オキサリプラチン、ベバシズマブ)療法の奏効率は78.3%となり、適切に選択した症例での骨盤照射の省略に向けて有望と考えられることが、多施設共同のフェーズ2試験(GEMCAD 0801試験)から示された。7月3日から6日まで、スペイン・バルセロナで開催された第15回世界消化器癌学会(WCGC2013) で、スペインFundacion Institute Valenciano de OncologiaのCarlos Femandez-Martos氏が発表した。

 臨床病期II-III期の直腸癌に対する術前補助療法として、化学療法と放射線療法は標準的治療である。しかし、骨盤照射は長期の合併症と関係し、レトロスペクティブなデータでは、放射線療法の有用性が得られない患者のサブグループが存在する可能性が示唆されている。

 そのためFemandez-Martos氏らは、T3の直腸腺癌患者を対象として、術前補助療法の放射線療法を選択的に省略するためのCAPOX-B療法の安全性と有効性を評価した。

 対象は、ベースラインで測定可能な直腸癌病変を有し、R0の全直腸間膜切除(TME)が可能と考えられ、骨盤MRIでa)肛門弁から腫瘍の遠位縁が5cmを超え、仙骨岬角より下に位置するT3の腫瘍、またはb)直腸固有筋膜から腫瘍まで2mm以上と判断された、中等度リスクの患者。

 治療は3週を1サイクルとし、カぺシタビン2000mg/m2を1-14日目まで、オキサリプラチン130mg/m2を1日目に、ベバシズマブ7.5mg/kgを1日目に投与し、3サイクル繰り返した。4サイクル目はCAPOX(カぺシタビン、オキサリプラチン)のみを投与した。4サイクル目の3週目の間にMRIで再度病期分類を行った。

 手術は最後の化学療法薬の投与から4-6週の間に予定し、進行例には化学放射線療法を計画した。術後は4サイクルのCAPOXを推奨した。主要評価項目は奏効率だった。

 46人(年齢中央値61歳、男性28人)が登録され、全例が骨盤MRIによるa)とb)の適格基準を満たしていた。T3a、T3bで壁外静脈浸潤(EMVI)がない患者は6人(13%)、T3a、T3bでEMVIがある患者は16人(35%)、T3c、T3dでEMVIがある患者は22人(48%)で、T4でEMVIがある患者も1人含まれていた。

 4サイクルを完了した患者は39人(85%)、手術を行った患者は44人(96%)となった。前方切除術は40人、腹会陰式直腸切断術は4人に行われた。化学放射線療法を術前に受けた患者はおらず、術後に5人(11%)に行われた。

 ITT解析対象において、MRIで確認した完全奏効(CR)を5人(10.9%)、部分奏効(PR)を31人(67.4%)に認め、奏効率は78.3%(95%信頼区間:63.6-89)となった。安定状態(SD)は3人(6.5%)で得られ、評価不能の患者がいたものの、進行した患者はいなかった。pCR率は19.6%(95%信頼区間:9.4-33.9)となり、ダウンステージング(T)は48%で認められた。

 44人全例にTMEが行われ、R0切除が可能だった。42人(95%)では癌の遺残がない直腸周囲切除断端(circumferential resection margin)が得られた。

 無再発生存期間(DFS)中央値は29.3カ月、全生存期間(OS)は中央値に未到達である。

 術前補助療法施行中、61%にグレード3/4の毒性が発現し、下痢が最も多く7人(15%)で観察された。死亡は2人で、このうち1人は下痢が発現した後に腎不全となり、別の1人は肺塞栓症で死亡した。

 30日以内の術後合併症は、吻合部の縫合不全(13%)、感染と創傷治癒の遅延(7%)、再手術(7%)などで、死亡は縫合不全と腹膜炎が発生した1人だった。

 Femandez-Martos氏は「今回示された有効性は、フッ化ピリミジンを含む化学放射線療法を行ったヒストリカルコントロールと同様だった。適切に患者選択が行われれば、直腸癌患者で骨盤照射を回避できる可能性が示唆された」と話した。

 現在、術前の化学放射線療法と比較するフェーズ3試験が進行中であるという。