血清カルシウム(Ca)濃度を血清アルブミン濃度で補正し、併存症を評価するCharlson Comorbidity Index(CCI)で調整すると、血清Ca濃度は食道癌と結腸癌のリスクと正の相関を示すことが、約50万人を12年間追跡したSwedish Apolipoprotein Mortality Risk(AMORIS)試験のコホートの検討から示された。7月3日から6日まで、スペイン・バルセロナで開催されている第15回世界消化器癌学会(WCGC2013) で、インドネシアFaculty of Medicine Gadjah Mada UniversityのWahyu Wulaningsih氏が発表した。

 カルシウムを多く摂取することにより、観察研究では大腸癌の予防につながることが示唆されているが、他の消化器癌に対する影響は不明である。またほとんどの試験では、主に血清アルブミンの影響を受ける、未補正の血清カルシウム濃度が用いられている。

 Wulaningsih氏らは、血清Ca濃度と食道癌、胃癌、大腸癌のリスクとの関連を評価した。

 対象は、Swedish AMORIS試験のコホートから選出された20歳以上の男女492044人(平均年齢44.62歳、男性52.94%)。ベースラインで血清Ca濃度と血清アルブミン濃度を測定した。血清総Ca濃度は比色法、血清アルブミン濃度はブロムクレゾールグリーン法で測定し、血清Ca濃度は血清アルブミン濃度に基づいて補正した。

 追跡期間は、各対象について、ベースラインの測定から消化器癌の診断、他国への移住、死亡、試験終了日(2002年12月31日)までのうち、最初に起こったいずれかとした。多変量のCox回帰分析を行い、消化器癌の発生と死亡に関連する血清Ca濃度を評価した。すべてのモデルは年齢、性別、社会経済的水準で調整し、さらに血清アルブミン濃度とCCIで調整した。

 平均追跡期間は12.55年で、この間に5119人に消化器癌が発生した。内訳は、食道癌323人、胃癌782人、結腸癌2519人、直腸癌1495人だった。平均年齢はそれぞれ56.07歳、58.72歳、58.93歳、57.38歳、男性の割合はそれぞれ71.39%、62.47%、54.09%、60.76%だった。

 計1258人が死亡し、それぞれ132人(40.87%)、273人(34.91%)、547人(21.71%)、306人(20.47%)だった。

 血清アルブミン濃度で補正し、CCIで調整した血清Ca濃度は、食道癌と結腸癌のリスクと正の相関を示した。ハザード比は、食道癌1.17(95%信頼区間:1.05-1.3)、結腸癌1.05(同:1.01-1.09)となった。同様の結果は、四分位と年齢補正カットオフ値でも認められた。過体重での相関は認められなかった。

 血清アルブミン濃度で補正した血清Ca濃度は、食道癌による死亡のリスクとも相関し、ハザード比は1.33(95%信頼区間:1.13-1.57)だった。

 Wulaningsih氏は、「癌関連死亡に対する血清カルシウムの影響を検討するうえでは、匹敵するリスクにも取り組む必要がある。今後、血清カルシウムのレギュレータの影響や食事中のカルシウムの影響についても、消化器癌の発生と同様に検討していきたい」と述べた。